キャリアアップするために外資系企業への転職を考える方もいるのではないでしょうか。しかし、外資系企業への転職は日本企業とは異なるアプローチが必要となる場合が多いです。そもそも、外資系企業の特徴や、転職するメリット・デメリットとはなんでしょうか?
この記事では、外資系企業の概要、転職のメリット・デメリットを紹介しています。転職のための具体的な方法まで詳しく解説していますので、外資系企業への転職をご検討の際に参考にしてください。
外資系企業とは?
外資系企業とは、一定以上の資本金が海外資本になっている企業のことを指します。そのため、海外の企業や投資家が経営戦略の決定に大きな影響力をもっています。
業界別の主な外資系企業
- IT・情報通信業界:グーグル、日本マイクロソフト、アマゾンジャパンなど
- 金融業界:ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、JPモルガンなど
- コンサルティング業界:マッキンゼー・アンド・カンパニーなど
- 外食業界:マクドナルド、ネスレ日本ズなど
- 卸売メーカー業界:ユニリーバジャパン、デュポン、ダウ・ケミカル日本など
海外資本の割合は、経済産業省の「令和2年外資系企業動向調査」によると資本金の3分の1以上と定義されていますが、具体的なパーセンテージは決まっていません。
外資系企業には3つのタイプがある
外資系企業は、設立の形態により3つのタイプに分けられます。
☑新規設立
一般的に外資系企業といわれているのが、海外企業が日本で新規に設立する形態です。膨大な資金が必要なため、アマゾンやグーグルなど世界的企業が行うことが多いです。資本金の100%が海外資本となることが多く、本国にある本社の子会社として活動します。
☑共同出資
日本企業と海外企業が共同出資して設立する形態です。一般的に、資本比率が日本企業より海外資本の方が高くなる場合を外資系企業と呼びます。海外資本が多くなりますので、経営方針の決定権も海外側にゆだねられます。
☑買収
海外企業が日本企業を買収した場合も、外資系企業となります。日本企業が経営に行き詰ったりグローバルな戦略をとりたいときに行われ、海外勢に経営権が移行するのが特徴です。
日本企業との違い
ここでは、外資系企業と日本企業の違いを紹介していきます。
☑即戦力として期待される
外資系企業では、新人・中途採用・年齢は関係なく、誰もが等しく即戦力として期待されているため、能力や実績が採用の可否を大きく左右する傾向にあります。そのため、日本系企業のように入社後の研修や教育制度を用意していない場合が多いです。
☑常に結果を求められる
外資系企業では、人事評価基準に成果主義を採用しているところが多く、常に結果を求められます。実績が最重要視されるため、成果に結びつく具体的な行動が必要となるでしょう。
☑残業に対する評価が異なる
残業は、日本企業では「人並み以上に頑張っている」として好印象になることもありますが、外資系企業では「時間内に終わらせられない人」として低評価につながる可能性もあります。
☑自分の意見を主張する必要がある
外資系企業では、自分の意見をしっかりと伝えることが大切です。異なるバックグランドを持った上司や同僚、クライアントと一緒に仕事を進めていく機会も多いので、日本のように空気を読んだり、以心伝心を期待したりすることは困難でしょう。
「自分はどういう人間なのか」「何を考えているのか」などはっきり伝えることで、周囲との信頼を高めていきましょう。
外資系企業で働くメリット・デメリット
ここでは、外資系企業で働くメリット・デメリットを紹介します。
外資系企業で働くメリット
まずは、外資系企業で働くメリットを紹介します。
☑高収入を得られる可能性がある
外資系企業の多くは、基本給とは別にインセンティブ給を設けているため、成果を出した分だけ収入が増える可能性があります。また、福利厚生としては支給されないさまざまな手当が給与に含まれていることから、日本企業の年収よりも比較的高くなっている場合が多いようです。
繰り返しになりますが、仕事の結果や実績が報酬に直接影響するため、年齢をベースにする考え方もあまりありません。
☑年齢や性別、継続年数にかかわらず昇格・昇進できる可能性がある
外資系企業は、人事評価基準に成果主義を採用しているため、実力があれば年齢や勤続年数にかかわらず昇進できる可能性があります。
例えば、能力が高く成果を残せれば、入社1年目の新人がプロジェクトリーダーを任されることもありますし、日本企業では少ない女性の管理職も外資系企業では珍しくありません。
☑プライベートが尊重されている
外資系企業には、プライベートを尊重する文化があります。また、仕事のオンオフがはっきりとしている場合が多く、残業や休日出勤などはあまり推奨されません。
国によっては法律上、雇用側が従業員に有給休暇を取得させる義務を負っているところもあるため、長期休暇なども日本企業に比べて取得しやすい環境にあります。
外資系企業で働くデメリット
次に、外資系企業で働くデメリットを紹介します。
☑常に結果を求められるため、プレッシャーやストレスを感じやすい
前述のとおり、外資系企業では人事評価基準として成果主義を採用しているため、常に結果が求められます。また、成果に給与が直結するケースが多いため、にプレッシャーを感じてストレスを溜めることもあるでしょう。
即戦力として期待されているので、思うように力が発揮できず、成果が出せない状態が続けば厳しい評価を受ける可能性もあります。
☑結果によっては収入が落ちる
繰り返しになりますが、外資系企業ではインセンティブ給を設けているところが多く、成果によって給料が変動するため収入が不安定になりがちです。結果を出せれば新人でも収入が上がりますが、結果を出せないとベテラン社員でも収入が下がることもあります。
☑異文化を柔軟に受け入れ、相互理解を深める努力が求められる
外資系企業には、様々な文化背景を持った人がいます。また、本社をはじめとした海外企業や海外投資家の意思が直接反映されるため、英語主体でのコミュニケーションも多いようです。
そのため外資系企業で働くには、異文化を理解して受け容れようとする柔軟性が大切となるでしょう。また、前述のとおり、日本のような空気を読むという文化は期待せず、自ら積極的に考えを伝えていくことで相互理解を深めていく必要があるでしょう。
外資系企業に向いている人
ここでは、外資系企業に向いている人の特徴を紹介します。
☑合理的かつ効率的に仕事をすすめられる人
繰り返しになりますが、外資系企業では結果を重視するため、無駄なく合理的に業務を遂行することが大切となります。ITツールなどを積極的に取り入れるなど、効率的に仕事を進める工夫ができる方におすすめです。
☑年功序列でなく公平に評価されたい人
これも繰り返しになりますが、多くの外資系企業では人事評価基準に成果主義を採用しているため、年功序列制を採用している日本企業のような、年齢や勤続年数を考慮するという考え方がありません。
そのため、公平に能力を評価されたいと考える方に向いているといえるでしょう。
☑急激な変化にも柔軟に対応できる人
外資系企業は、基本的に本社の決定を受けて業務を遂行するため、戦略変更や組織体制の組み替えなどが、頻繁かつ突如として起こることもあります。また、直属の上司の裁量権が大きいため、業務方針が変わることもありますし、人の入れ替わりも多いので、上司自体が変わるという可能性もあります。
こうした急激な変化にも柔軟に対応できる方には、外資系企業がおすすめです。
☑自主的に考えて行動に移すことができる人
前述のとおり、外資系企業では即戦力としての活躍が期待されているため、上司の指示を待っていても物事は前に進まないでしょうし、評価もされないでしょう。
また、研修や教育といった制度や仕組みがない場合が多いです。そのため、キャリアアップするためには自ら積極的にスキルを磨いたり、知識を習得しようと行動する必要があるでしょう。
外資系企業に転職して成功する人・失敗する人の特徴
ここでは、外資系企業に転職して成功する人・失敗する人の特徴を紹介します。
転職して成功する人の特徴
まずは、外資系企業に転職して成功する人の特徴を紹介します。
☑自分を積極的にアピールできる人
外資系企業では、積極的に自分の意見を発言する人を評価する傾向にあります。通常の業務はもちろん、会議などでも意見が求められますので、自分の考えをはっきり主張することは大切です。
☑日本の常識にこだわらない人
外資系企業では、日本の常識にこだわらない人が成功する傾向にあります。なぜなら、海外企業や海外投資家が経営権を握っていることが多い外資系企業では、日本の常識が通用しないこともあるからです。
例えば、日本企業では社内育成を通じて協調性や忠誠心を養うことは一般的ですが、外資系企業では当たり前にもっている能力とみなされていることが多いようです。
☑上司と良好な関係を築くことができる人
外資系企業では直属の上司が大きな裁量権を持っているため、上司の意向が業務内容や人事評価の決定に大きく影響します。
そのため、これは外資系企業に限ったことではありませんが、上司と良好な関係性を築くことも大切なことのひとつでしょう。
転職して失敗する人の特徴
次に、外資系企業に転職して失敗する人の特徴を紹介します。
☑成果主義の評価基準に、過度なプレッシャーを感じてしまう人
外資系企業では、基本給とは別にインセンティブ給を設けているところが多いため、成果次第で年収が変わります。また、成果主義を徹底しているので、期待されている結果を出せない状態が続けば、減給や場合によっては解雇に繋がる可能性もあります。
そういったプレッシャーをエネルギーに変えられる人は活躍できますが、逆にストレスに感じてしまう人にとっては、外資系企業は厳しい環境だといえるでしょう。
☑リサーチ不足によって、入社後にギャップを感じてしまう人
事前のリサーチ不足によって、入社後に「こんなはずではなかった」とギャップを感じて、思うように活躍ができないケースもあります。特に外資系企業は、日本企業で培った常識が通用しないことも多いため、文化や企業風土の違いなどは事前に確認しておいた方がよいでしょう。
☑語学力も含めて、コミュニケーション能力が不足している人
これも外資系企業に限ったことではありませんが、業務を遂行する上では高いコミュニケーション能力が必要となるでしょう。また、上司やクライアントが海外出身者というケースも多く、その場合は英語力も求められるでしょう。
外資系企業に転職する際に気になるポイント
ここでは、外資系企業への転職を成功させるためのポイントを紹介します。
英語力
外資系企業に転職するには、ある程度の英語力が必要となるでしょう。ネイティブ並みの英語力があればよいですが、求められるレベルは企業によって異なります。そのため、英語に自信がないというだけで不安になる必要はないでしょう。
ただし、メールの返信やプレゼンテーションなど、最低限のビジネス英語は身につけておきましょう。繰り返しになりますが、直属の上司やクライアントが海外出身者であることも多く、彼らとの良好な関係性構築も大変重要なので、会話力も必要だといえるでしょう。
年齢
外資系企業では、評価基準として年齢は関係ありません。そのため、日本企業と異なり、年齢によって転職活動が不利になることはなく、募集ポストに合った経験とスキルをもっていれば採用されるでしょう。
逆にいえば、年齢によるアドバンテージもないので、即戦力となる自己アピールが必要になるでしょう。
性別
外資系企業では、日本企業に比べて女性の管理職が多いのも特徴のひとつです。これは、前述のとおり、成果主義によって人事評価がなされるため、年齢や勤続年数と同じように性別も関係ないからです。
一方で、日本企業ほど福利厚生が充実していないところが多いため、妊娠や出産を控えている女性には働きにくく感じる点もあるでしょう。しかし、実力さえあればサポートも手厚くなるので、キャリア志向の女性なら働きやすくなることもあります。
経験の有無
外資系企業は、年齢や性別より経験やスキルを優先します。これまで何をしてきたかが重視されるため、中途採用が中心になるのが特徴です。
しかし、中には未経験でもOKな場合もあります。例えば、生命保険業界は人間関係が重視されるため、経験よりも人に好かれやすい性質をもっているかどうかが重視されることもあります。
外資系企業の面接対策
最後に、外資系企業の転職を成功させるための面接対策を紹介します。
☑英語の質疑応答に対応できるように準備しておく
外資系企業の面接は、組織や役職、ポジションによっては英語で行われることが多いようです。もちろん、日本語で行われることもありますが、とつぜん英語力を求められることもあるので、最低限の質疑応答に対応できるように準備はしっかりしておきましょう。
☑よく聞かれる質問の受け答えを用意しておく
外資系企業の面接でよく聞かれる質問は、日本企業とあまり変わらないといってよいでしょう。「この企業を選んだのか」「なぜ転職しようと思ったのか」「どのような経験を持っているのか」「その経験を生かしてどのような仕事がしたいと思っているのか」などは、日本語はもちろん、英語でも受け答えできるようにしておきましょう。
☑控えた方がよいな言動を把握しておく
一般的に、外資系企業の面接では、積極性・コミュニケーション能力・自己管理能力・自主性などを確認しているといわれています。よって、これらの評価を下げるような言動は控え、キャリアアップへの熱意や希望を積極的にアピールしていきましょう。
まとめ
外資系企業は、海外企業や海外投資家が経営の決定権を握っていることが多いため、日本企業とは社風が大きく異なります。そのため外資系企業の転職には、積極的に自己アピールやキャリアを伝えられるコミュニケーションスキルや一定の英語力が必要となるでしょう。
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