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ビジネスシーンで、「シナジー」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。ビジネスにおけるシナジー効果とは、複数の要素が互いに作用し合うことで、より大きな効果や利益を生み出すことを指します。
シナジー効果を生み出すことは、企業の成長戦略において重要な役割を果たします。
本記事では、ビジネスにおけるシナジーの定義をはじめ、シナジー効果の種類や具体的なメリットについて詳しく解説します。
シナジーとは
ビジネスシーンで使われるシナジー効果とは、複数の要素が互いに作用し合うことで、個々に働くよりも大きな効果や利益を生み出すことです。
例えば、異なる企業が合併することで新しい市場への進出が容易になったり、経営資源の共有によってコストを削減できたりする場合、このような現象をシナジー効果といいます。
シナジー効果の種類
ビジネスにおける代表的なシナジー効果は、大きく分けて下記の3種類に分けられます。
- 事業シナジー
- 財務シナジー
- 組織シナジー
それぞれどのようなものか、以下で詳しく紹介します。
事業シナジー
事業シナジーとは、異なる事業や企業が統合することにより生まれる相乗効果のことです。主に以下のような効果が期待できます。
- 売上の増加
- コスト削減
- スケールメリットの増大
- 人材の獲得・活用
- ノウハウの統合
この統合により、個々の事業や企業が単独で活動する場合よりも、大きな価値や利益の創出が期待されます。企業が競争力を高めながら効率的にビジネスを展開していくうえで、事業シナジーは重要な要素の一つです。事業シナジーを効果的にビジネスに活用することで、企業は市場での優位性を確立し、持続的な成長を実現する可能性を高められます。
財務シナジー
財務シナジーは、企業の合併や統合、業務提携などを行うことで得られる金銭的な利益のことを指します。主に以下のような効果があります。
- 余剰資金の有効活用
- 繰越欠損金の税控除
- グループ法人税制の利用による節税
具体例として、ある企業が新規事業としてデジタルマーケティングのサービスを開始する場合、設備を整えるための資金が必要です。このとき、安定した収益を得ているほかの事業部門と業務提携し、その部門の余剰資金を調達することで、初期費用を抑えられます。
このように、企業間で効率的に資金を移動させることで発生しやすくなるのが、財務シナジーの特徴です。
組織シナジー
組織シナジーとは、異なる組織が協力し合うことで、各々が持つ本来の力以上の成果を出すことをいいます。具体的には以下のような効果があります。
- 生産性の向上
- 業務効率化
- モチベーションの向上
組織シナジーを創出するためには、適正な人事評価や従業員同士のコミュニケーションの円滑化などに注力することが重要です。組織内のメンバーが能動的に動ける環境を整えることで、社員が自身のアイデアやノウハウを積極的に共有・活用しやすくなり、組織シナジーが生まれやすくなります。
対義語はアナジー効果
シナジー効果の対義語であるアナジー効果は、企業の統合や業務提携によって期待されていた効果が得られず、逆に経営状況が悪化してしまう現象を指します。
アナジー効果によって発生しうる具体的な事象として、下記のようなものが挙げられます。
- 想定外のコスト増
- 社内の労働力の低下
- 人材・資金の流出
アナジー効果を回避するためには、企業や事業部間で相互理解を深める取り組みを積極的に行ったり、専門家の手を借りて戦略的に統合を進めたりと、初期段階から計画的かつ慎重に行動を起こすことが重要です。
企業がシナジー効果を狙う4つのメリット

企業がシナジー効果を狙う理由は、下記のようなメリットが得られるためです。
- コスト削減
- 得意先の拡大
- 事業開始の効率化
- ノウハウや知識の共有
それぞれ詳しく解説します。
コスト削減
異なる企業や部署などが手を組むことで、それぞれの事業で重複している部門や不要な投資などを削減できます。
例えば、物流業に属する2つの企業が同じ経路で商品を運んでいる場合、運搬作業を一本化することで、配送コストや人件費を削減できます。さらにM&Aによって事業規模を拡大できれば、一度の生産でより多くの商品を製造できるため、生産効率の向上が見込めます。
得意先の拡大
各々が異なる得意先を持つ複数の企業や部署が連携することは、自社の得意先の拡大につながります。
また、自社の顧客層を広げたい場合、すでにその顧客層を獲得している企業と提携すれば、余計なコストをかけずにスムーズに新規顧客を獲得できます。
事業開始の効率化
新規事業の立ち上げを検討している場合、求める人材やノウハウを持った企業と提携すれば、事業開始までの時間とコストを大幅に削減できます。
新規事業に必要な即戦力となる人材や新たな技術を提携企業から獲得できるため、手間をかけずに迅速に新たな事業を展開させられるのです。
同時に、人材育成や技術導入のための時間や費用の節約にもつながります。
ノウハウや知識の共有
それぞれが持つノウハウや知識、技術を共有することは、組織マネジメントを強化し、新たな商品やサービスの開発を促進することにつながります。
例えば、技術企業と製造業が提携する場合、技術企業の最新技術と製造業の生産ノウハウが組み合わさることで、効率的で革新的な製品が生み出される可能性が考えられます。
また、異なる業種の企業が新しいサービスを共同開発することで、市場に新しい価値を提供し、競争優位性を確立できる可能性が高まります。かもしれません。
シナジー効果を発揮するための4つの方法
シナジー効果を生み出すための具体的な方法は以下のとおりです。
- 業務提携
- M&A
- 多角化戦略の採用
- グループ一体経営の推進
以下で詳しく解説します。
業務提携
業務提携は、異なる分野の技術やサービスを持つ企業が協力することで、新しい価値を生み出す方法です。互いの強みを生かし、市場での競争力を高める効果が期待できます。狙えます。
例えば、自動車メーカーと電気通信会社がタッグを組み、新たな製品の開発を目指した業務提携の例などが挙げられます。
M&A
企業がほかの企業と合併、または買収することを意味するM&Aは、複数のシナジー効果を得るための戦略です。財務的利益を最大化し、売上の増加やリスクの分散、仕入れコストの削減などが期待できます。
多角化戦略の採用
多角化戦略は、企業が新たな事業領域へ進出する際に採用される戦略で、主に下記4つのタイプに分けられます。
水平型多角化戦略
水平型多角化戦略は、自社の既存製品やサービスと関連性のある新しい製品やサービスを開発することです。
例えば、飲料会社がスナック食品の製造事業に参入する場合などがこれに該当します。既存の市場知識を活用し製品ラインを拡張することで、顧客基盤の増加が期待できます。
垂直型多角化戦略
垂直型多角化戦略は、生産技術の関連性は低いものの、既存の市場と似た市場に新製品やサービスを投入することで成長を目指す戦略です。
例えば、食品メーカーが自社ブランドを活かして直営の飲食店を開業する場合や、製品の品質を保証するために、原材料の生産段階に進出することなどが挙げられます。
集中型多角化戦略
集中型多角化戦略とは、自社の強みや技術、ノウハウを活かして、企業が新しい市場や業界に進出する際に行う戦略のことです。
電気機器製造などを行っている企業が、これまで培った技術を生かして医療機器の分野に参入するようなイメージです。
集成型多角化戦略
集成型多角化戦略とは、現状の生産技術やノウハウを活かし、企業がこれまでとはまったく関連のない事業分野に進出する戦略を指します。
建設会社による外食事業への参入や、不動産会社による農業への参入などが例として挙げられます。
集成型多角化戦略は新たな収益源を開拓できる一方で、知見のない新しい分野へ事業を展開することから、失敗のリスクが高いことが大きな特徴です。
グループ一体経営の推進
グループ一体経営は、ホールディング形式で運営される企業グループにおいて、複数の子会社間で発生する業務の重複を解消し、効率化を図ることを目的としています。
例えば、経理や人事などの非生産部門の業務を、グループ全体で一元管理することでシナジー効果の創出を目指します。
まとめ:効率的なシナジー効果創出に向けて、エンワールド・ジャパンを活用しよう
シナジー効果とは、複数の要素が互いに作用し合うことで、単独で行動するよりも大きな成果が得られる現象を指します。企業がシナジー効果を生み出すことにより、事業開始の効率化や得意先の拡大など、多方面から自社の価値を向上できます。
シナジー効果を生み出し継続的に企業を発展させるためには、既存の事業を維持するだけでなく、新たな人材と共同しイノベーションを生み出していくことも重要な要素の一つです。
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