外資系企業の中途採用でよく実施される「リファレンスチェック」。 人材の採用を判断するために不足している情報を得る有効な方法として、外資系企業での利用は一般化されています。
今回は、リファレンスチェックの概要、実施方法、メリットなどをFAQ形式で解説します。
|Q. リファレンスチェックとは
「リファレンスチェック(Reference check)」とは、身元照会、信用照会と呼ばれるもので、中途採用を行う過程で、採用候補者の会社の上司や同僚に、在籍の事実はもちろんのこと、その職場での仕事ぶりや人物像などについて問い合わせることです。
人事担当者は、リファレンスチェックによって、採用候補者を第三者の目線を含め多角的に判断することができるようになります。
|Q. バックグラウンドチェックとは
「バッググラウンドチェック」は、リファレンスチェックと手法が似ていますが、目的は異なります。
リファレンスチェックは、主に採用候補者の人物像やスキルなどを知るためにヒアリングするのに対し、バックグラウンドチェックは、コンプライアンス上のリスクがないかを調査するものです。
具体的には、応募書類に記載された経歴に虚偽がないか、金銭トラブル・反社会的な繋がりがないかを調べます。
|Q. リファレンスチェックのメリットは?
主なメリットを3つ紹介します。
採用・面接選考の効率化
面接前に採用候補者をスクリーニングできるなど、リファレンスチェックの活用によって、採用における人事・面接担当者の工数削減、生産性向上が期待できます。
求める人材と採用候補者のミスマッチ防止
実際の働きぶりを知っている複数の第三者に問い合わせることで、多面的な評価や情報を知ることができるため、より精度高く判断でき、互いのミスマッチ防止につながります。
入社後の早期活躍の支援
採用候補者の性格・スキルを把握できることは、入社後の活躍しやすい環境作りにも活かせ、採用者本人もよりスムーズに組織・チームに馴染むことができるでしょう。
|Q. リファレンスチェックのヒアリング対象者は?
ヒアリング対象者は、主に採用候補者の前職(現職)の上司、同僚、部下などの関係者です。場合により、さらに前の職場の関係者に依頼するケースもあります。
ヒアリング対象者によって、採用候補者への配慮から有利な回答をする場合があります。そのようなリスクを避けるためには、実績豊富なリファレンスチェックサービスや調査会社に依頼するなど、プロに意見を聞くのが良いでしょう。
|Q. リファレンスチェック実施のタイミングは?
内定後にリファレンスチェックを行い、結果が思わしくなくても、客観的に見て合理的な理由がない限り内定取り消しはむずかしいケースが多いようです。
一方、選考の早い段階では採用候補者の入社意志が固まっておらず、リファレンスチェックの同意を得られない可能性があります。
このことから、リファレンスチェックは一般的に、内定通知前の最終面接の前後に行うのが有効です。
実施期間は最大1週間ほどなので、最終面接前後に行えば、選考スケジュールにさほど影響することもないでしょう。
|Q. リファレンスチェックの流れは?
一般的な流れは次の通りです。
- 採用企業が候補者の情報を登録し、ヒアリング項目を設定
- 採用候補者にリファレンスチェック実施の同意を取得
- 候補者が被聴取者へ依頼
- 被聴取者が回答
- 回答を元に作成されたレポートを採用企業が確認
|Q. リファレンスチェックにおける質問項目は?
一般的に次のような項目が質問されます。
勤務態度やコミュニケーション、人物について
- 周囲とのコミュニケーションは良好か
- 上司や部下との折り合いが悪いと思うことはなかったか
- 遅刻や欠勤は多くないか
職務能力について
- 主な実績は何か
- 問題やトラブルが生じたときの対応はどうか
- リーダーシップを感じる人物か
|Q. リファレンスチェックを拒否された場合は?
リファレンスチェックを依頼する際は、採用候補者から回答者にリファレンスチェックをなぜ行うのかという理由や意義をしっかりと説明してもらうようにすることが大切です。
一般的に前職の直属の上司や部下に先に声をかけますが、拒否された場合は、業務上関わりのあった他の管理職や部下への依頼も検討してもらいましょう。場合によっては、前々職の関係者や社外の取引先などに依頼をかけてもらうようにしても良いかもしれません。