【人事用語FAQ】 ワーキングプアとは

2023.07.24
【人事用語FAQ】 ワーキングプアとは

現在日本では、多くの人がワーキングプア状態にあり、それは個人の問題に留まらず、社会全体に影響を与える大きな課題となっています。
この記事では、ワーキングプアとは何か、日本での現状、課題や人事担当者が実施できる対策などについてFAQ形式で解説します。

Q. ワーキングプアとは?

「ワーキングプア(working poor)」とは、正社員や非正規社員としてフルタイムで働いているにも関わらず、生活保護の水準以下しか収入が得られない低所得者層である就労者の社会層のことをいい、日本語では「働く貧困層」と呼ばれています。

ワーキングプアに分類される所得水準は、国や地域によって変わりますが、日本国内では生活保護の水準である「月給約17万円」「年収約200万円」を目安としている場合が多くみられます。

Q. 日本のワーキングプアの現状は?

日本国内におけるワーキングプアの現状は次のようなデータを参考に知ることが可能です。

総数5,660万人中約33%もの人がワーキングプア層と考えられる

2019年の「労働力調査」(詳細集計)によると、役員を除く雇用者5,596万人のうち年間収入別で200万円未満だった人数は正規・非正規合わせて1,873万人でした。つまり、総数5,660万人中約33%もの人が、数字上で見るとワーキングプア層と考えられます。

圧倒的に女性が多い

上記5,596万人のうち非正規従業員は2,120万人で、そのうち年間収入が200万円未満の割合は、男性が24.1%、女性は75.9%でした。また、2017年の総務省「就業構造基本調査」によると、年200日以上働いている労働者のうち、同じ時間を働いている場合であっても男性に比べ女性の方が顕著に低所得の割合が多くなっています。

Q. ワーキングプアの課題は?

ワーキングプアは、次のようなさまざまな課題を絡めながら連鎖していき、経済の低迷という流れにもつながります。

これらの課題を放置すると、これから一層、ワーキングプアに悩む人が増えてしまう可能性があります。

過労死や自殺につながる

収入が低い状態は精神的にも追い込まれてしまいがちです。また、低収入の穴を埋めるために長時間労働をこなし、体を酷使して過労死に繋がってしまうケースがあります。

家庭を持てない

収入が低いことで「結婚ができない」「家庭を持てない」という人が増えることも問題のひとつで、日本の少子化問題にも影響します。

子供世代に連鎖する

ワーキングプア状態にある家庭の子どもは、高校や大学への進学費用が払えないなどの理由から就職・転職が難しく同じくワーキングプアになりやすい傾向があります。

Q. 人事担当者が実施することができるワーキングプア対策

企業がワーキングプア対策に取り組むには、企業の現状や課題に合わせて適切な取り組みを選択し、それを継続的に実施することが重要です。

ここでは、人事担当者が実施できる有効なワーキングプア対策例を解説します。

働き方改革の推進・ワークライフバランスの改善

ワーキングプアは、長時間労働や低賃金で働かざるを得ない状況に陥っており、過剰な労働によるストレスや健康被害、家庭や趣味に割く時間の減少などが原因で、メンタルヘルスを損ねることがあります。

企業としてそれを避けるために、労働時間の適正化やワークライフバランスの改善を目指し、柔軟な働き方を推進する働き方改革を行うことが重要です。

例えば、労働時間帯を柔軟に設定できるフレックスタイム制度や、通勤時間を削減でき仕事と家庭の両立がしやすくなるテレワーク、雇用や賃金を守りながら1つの業務を複数人で分かち合うことで労働時間を減らせるワークシェアリングの導入などが考えられます。

また、有給休暇を取得するための環境づくりやメンタルヘルスのサポート、相談体制の整備も必要です。

働く環境の改善

働き方改革と同時に労働環境の改善も重要な施策のひとつです。

例えば、設備の改善や快適な温度・湿度の調整、清掃体制の見直しなどで、職場の快適性や清潔さを向上することによって、従業員のストレスや不安を軽減し仕事に取り組みやすくすることができます。

また、従業員同士のコミュニケーションを促進するために、ツールやシステムの導入、社内イベントやチームビルディングを実施するなどで、従業員同士の協力体制やコラボレーションが生まれ、業務効率の向上につながることが期待できます。

給与体系の見直し

企業が社員に支払う報酬を決定するためのルールや制度である給与体系も、働き方に見合った適正な報酬を与えられるような見直しが求められます。

そのためには、業界標準や最低賃金を参考にした上で、従業員の業務内容や貢献度に合わせて、個々の報酬を見直しましょう。評価制度や昇給・昇格制度の見直しも行うことも大切です。

キャリアアップの支援

ワーキングプアには、低収入に加えスキルアップやキャリアアップの機会が少ないという課題もあります。その対策として、研修やセミナーを開催し、従業員のスキルアップや業務の質の向上を促進することが重要です。

また、従業員が自身のスキルアップに取り組めるよう資格取得支援制度を設けたり、社内での昇進や異動、プロジェクトのリーダーを任せるなどキャリアアップの機会を提供することも必要です。

今回はワーキングプアについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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