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スキルアップやワークライフバランス向上の制度として注目を集める「サバティカル(サバティカル休暇)」。
この記事では、サバティカル(サバティカル休暇)とは何か、そのメリット・デメリットや導入の際のポイントについてFAQ形式で解説します。
Q. サバティカルとは?
サバティカル(sabbatical)は、長期休暇や特別研究期間などを意味する言葉で、サバティカル休暇とは、一般的に一定期間以上勤続している従業員が取得できる長期休暇制度を指します。
もともとは大学教員に対して導入されたのが始まりといわれている制度で、サバティカル休暇を利用することで、通常の職務を離れ自身の調査研究に取り組むことができ知識や能力の向上が図れるものです。
近年は、優秀な人材獲得のため他社との差別化を図る意味でも、サバティカル休暇を導入する企業が増えています。
企業のサバティカル休暇はおおむね1ヶ月〜1年の期間で、その間は無給とするのが一般的です。
Q. サバティカル休暇導入の目的は?
経済産業省が2018年の3月に中小企業庁とまとめた報告書の中でも、個人の学び直しや振り返りを支援するために、サバティカル休暇の制度整備を勧めています。
企業が従業員に対してサバティカル休暇を導入する目的には、主に次のようなものがあります。
- 自身の専門分野の学び直し
- 新たな分野の知識の取得
- キャリア形成につながる普段の業務を離れたさまざまな経験
- ワークライフバランスを図る
- ストレスや疲れをリセットしリフレッシュする
これらの目的のもと、具体的には以下のようなことを行います。
- 大学や大学院、研究機関等で学び直す
- 業務に関連する資格を取得する
- 新しいスキルを習得する
- 長期旅行をする
- ボランティア活動に参加する
- 育児や介護などを行う
- 治療のために入院や手術を行ったり、自身の体調を整えたりする
Q. サバティカル休暇導入のメリットは?
サバティカル休暇は、企業にとって次のようなメリットをもたらします。
- 従業員のスキル向上が見込める
- 従業員が新たな知見を得たり経験を積んだりすることで今までとは異なる視点が生まれる
- 従業員のモチベーションが高まる
- 育児、介護、病気療養などが理由の離職を防ぐ
- 休暇取得者の長期不在を見据えて、業務の見直しと効率化が図れる
- サバティカル休暇制度を取り入れている企業として、評価や注目度が上がる
- 企業イメージが上がり、優秀な人材の獲得につながる
Q. サバティカル休暇導入のデメリットは?
一方、企業にとってサバティカル休暇を導入することは、次のようなデメリットがあります。
- 休暇する従業員の欠員を補充するための人員の調整が必要
- 休暇前に引き継ぎや業務の効率化を行っておかなければ、業務が滞る可能性がある
- 長期休暇からの復帰直後は、従業員の業務遂行力が落ちる可能性がある
- 新たな価値観や人脈ができることで、離職に至る可能性がある
Q. サバティカル休暇導入におけるポイントは?
サバティカル休暇を導入する際に、休暇中や休暇取得後のトラブル、従業員の離職を防止するためのポイントをいくつか解説します。
サバティカル休暇の目的を事前に把握する
従業員が漠然と目的もなく休暇を取得した場合、無駄な時間を過ごすことになりかねず、休暇取得後にパフォーマンスが落ちてしまうということも考えられます。
そのため、休暇取得申請書に申請理由の項目を設けるなど、従業員のサバティカル休暇取得の目的を企業も把握することが大切です。
例えば、従業員が休暇中に目的達成に取り組めるよう、休暇後にレポートの提出を求めるのも良いでしょう。
また、スキルアップやリフレッシュを目的とした休暇の取得を推奨しておくと、離職のリスクを防げる可能性があります。
サバティカル休暇の期間を設定する
サバティカル休暇の期間は、前述のように1ヶ月〜1年が一般的です。
ただ、長期間に渡って休暇を取得する場合は、業務や人員の調整が必要で導入が容易ではありません。
リフレッシュが休暇取得の目的であれば、業務を完全に離れることなく、観光地や帰省先でリモートワークを行える「ワーケーション」を選択する方法もあります。
この方法であれば場合によっては人員の調整も必要ないので、取得のハードルが下がるでしょう。
休暇取得中の給与・社会保険の取り扱いを規定する
日本ではサバティカル休暇に関する法律上の規定はなく、休暇中の給与は企業ごとに定める必要があります。前述のように、サバティカル休暇中は無給のケースが多いですが、企業によっては、基本給の一部を支給する、一定額の休暇手当を支給するなどがあります。
一方、社会保険については、サバティカル休暇中も加入が必須です。無給の場合は本人負担分や住民税を従業員から会社へ毎月振り込んでもらうことになります。
復職に関する就業規則を定める
サバティカル休暇終了後に従業員が出社しないリスクに備え、「復職予定日以降に一定期間出社しない場合は労働契約が終了する」という項目などを就業規則に盛り込んでおくとよいでしょう。
サバティカル休暇を取得しやすい環境をつくる
サバティカル休暇の取得には各方面との調整が必要です。企業が取得を推進するには、「社内でサバティカル休暇制度を周知させ取得を推奨する」、「他の従業員や業績に支障が出ないよう対策を行う」などの社内の環境作りが必要です。
今回はサバティカルについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。