【人事用語FAQ】計画された偶発性理論 とは

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【人事用語FAQ】計画された偶発性理論 とは

リーマンショックや新型コロナウイルスの蔓延などが発生するなど、先読みの難しい昨今では、従業員が将来の目標を明確に定めることが困難です。そのため、いかに従業員に「偶然を引き寄せる努力」を促せるかという計画された偶発性理論の考え方が、企業にとって重要な課題のひとつとなっています。
この記事では、計画された偶発性理論とは何か、注目される背景、実践するために必要な行動指針や人事担当者ができることなどについてFAQ形式で解説します。

計画された偶発性理論とは?

計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授が1999年に提唱したキャリア形成理論です。「目的意識に固執するのではなく、目の前の出来事に潜むチャンスを掴んでいくことが重要である」とする理論で、クランボルツ教授の調査により、ビジネス成功者のうち8割の人が偶然の出来事によってキャリアのターニングポイントを迎えたという結果に基づいています。

計画的偶発性理論は、次の3つの骨子から成り立っています。

  • 個人のキャリアは、偶然起こる事象で8割が作られる
  • 偶然起きた出来事は、自分の行動と努力で新たなキャリアを発見する力となる
  • 偶然起きる出来事を待つだけではなく、自ら行動を起こし周りの環境の変化に目を向けること

で、キャリア形成のチャンスを増やすことができる

計画された偶発性理論が注目される背景

これまでのキャリアプランの立て方に代わり、計画された偶発性理論が注目されるようになった背景には、次のような事柄が要因であると言われています。

社会情勢の変化

新型コロナウィルスの蔓延や災害などの予測しえない大きな変化が起きたとしても、従業員がキャリアを形成していくためには、従業員自身が柔軟に対応できる姿勢を身に着け、自ら偶然を作り出せるように行動するという計画的偶発性理論の考え方が欠かせない要素となっています。

IT技術の進化

昨今、IT技術の進化スピードがますます加速する中で、10年・20年先を見越したキャリア形成を行うことはとても困難であるといえ、計画的偶発性理論が注目された背景のひとつとなっています。

計画された偶発性理論を実践するために必要な行動指針は?

計画された偶発性理論の考え方を実践するために必要な行動指針として、クランボルツ教授は次の5つを掲げています。

  1. 好奇心(Curiosity):たえず新しいことに興味を持ち続け学習の機会を模索し続けること
  2. 持続性(Persistence):失敗に屈せず努力し続けること
  3. 楽観性(Optimism):新しい機会は必ず実現するとポジティブに考えること
  4. 柔軟性(Flexibility):こだわりを捨て信念、概念、態度、行動を変えて、柔軟な姿勢をとること
  5. 冒険心(Risk Taking):結果が不確実でわからなくてもリスクを取って行動し挑戦すること

つまり、チャンスをつかむためには新しいことを怖がらずに前向きに学習し、行動し続ける習慣を持つことが重要です。その際に、漠然としていても自分の進みたい方向性を定めておくことが、新しい人やものとの出会いの中で、感度高くきっかけを見つけることに繋がるポイントとなります。

従業員が計画された偶発性理論を実践するために人事担当ができること

ここでは人事担当者として、具体的にどのような取り組みを行えば従業員の計画的偶発性理論の実践を促進できるのかを解説します。

偶然の出来事がもたらす影響力に気づいてもらう

従業員に計画的偶発性理論の考え方や重要性をしっかり理解してもらうことが大切です。そのためには、「入社のきっかけ」「そのきっかけにつながった自身の行動」など、従業員の人生に影響を与えた偶然の出来事を振り返ってもらうことがひとつです。

これにより、従業員に偶然の出来事がもたらす影響力に気づいてもらえれば、新しい行動に向けての前向きなマインドセットを促せるでしょう。

シンプルな言葉で表せる将来のビジョンを思い描いてもらう

計画的偶発性理論は、漠然としたビジョンの下で偶然に起きるチャンスを掴んでいくことを提唱しています。この場合、特定分野や業務などの限定的な目標に絞ってしまうと予想外の変化に対応できなくなるので、従業員には「社会貢献できる仕事をしたい」「信頼されるビジネスパーソンになりたい」など、シンプルな言葉で表せるビジョンを思い描いてもらうことが大切です。

行動を起こせない理由の克服方法を考える

従業員の中には、目の前にチャンスがあっても変化や失敗を恐れて行動に移せない人もいます。その際は、行動を阻害している要因を考えてもらい、失敗から学んだことや克服できる方法を一緒に考え、挑戦に向けて従業員を後押しする取り組みが必要です。

チャンスをつかむ行動を促す

ただ偶然を待つのではなく自らチャンスを掴めるようなアプローチをするために、従業員に具体的なアクションプランを検討してもらいましょう。インターネットで関連情報を調べる、異業種の人の話を聞くなどの小さな行動でも構いません。最初の一歩を一緒に考え、従業員に行動を促すようにしましょう。

今回は計画された偶発性理論について解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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