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労働人口の減少や終身雇用や年功序列といった日本型経営システムの衰退から労働力が確保しにくくなっており、優秀な人材に選ばれるために積極的にEVPの設計に取り組む企業が増えています。
この記事では、EVPの目的や注目される理由、事例やメリット・デメリットなどについてFAQ形式で解説します。
Q. EVPとは?
EVPとは「Employee Value Proposition」の頭文字をとった略語で、日本語では「従業員への価値の提案」と訳され、企業が従業員へ提供できる価値を意味します。EVPには、給与や手当といった報酬だけでなく、成長ややりがいなど従業員や求職者にとっての仕事に関する付加価値も含まれます。
これまでは「従業員が企業にどのような利益をもたらすか」という概念が長らく浸透していましたが、逆にEVPは「企業が従業員に対してどんな価値をどれくらい提供できるのか」という概念です。
Q. EVPの目的は?
EVPを設定する目的は、企業が従業員に対して提供できる価値を言語化、視覚化して発信することで、従業員とのエンゲージメントを高めたり、優秀な人材を確保できるよう採用競争力を強化することにあります。
Q. EVPが注目される理由とは?
近年では終身雇用や年功序列という前提が崩れつつあり、より大きな働きがいを求めて転職する人は増加傾向にあります。そのため、採用力の強化や離職率の低下は多くの企業にとって重要なテーマになっており、その打ち手のひとつとしてEVPの発信が注目されています。
Q. EVPの例は?
従業員が企業で働く大きな目的は「収入を得ること」と言っても過言ではありません。
その点からEVPの代表例として給与やボーナスの額、オリジナル手当、昇給の機会・回数などが挙げられます。
また、前述のようにEVPには他の付加価値も含まれるため、
例えば
- 勤務体制や労働環境の充実や休暇、福利厚生によるワークライフバランスの実現
- キャリア開発をサポートするような環境や制度
なども、EVPにとって重要な要素のひとつです。
一般的な休日や有給休暇に加えて、新たにオリジナルの休暇を設ける企業も出てきています。
Q. EVPのメリット・デメリットは?
ここでは、EVPのメリット・デメリットについて解説します。
メリット
EVPの設定や発信によって得られる主なメリットは以下の通りです。
- 企業のブランド力や採用競争力の向上により、優秀な人材を確保しやすくなる
- 企業理念や行動指針の共有・浸透により、従業員が企業の求める成果をあげやすくなる
- 企業が高い価値を提供できれば、従業員の満足度や定着率の向上につながる
デメリット
EVPの設定や発信によって起こり得るデメリットは以下の通りです。
- 制度を導入した背景や目的をしっかりと周知しないと、EVPを高めるために導入した施策を会社の利益を上げるためと間違って解釈されるリスクがある
- EVPを高めるために導入した施策が実態とかけ離れている、または、公平性に欠け、かえって従業員の離反を生むリスクがある
Q. EVPを作成する方法は?
EVPを作成するには、以下の手順で進めるとよいでしょう。
STEP 1. 自社の価値を分析する
まずは、自社のEVPを分析してみましょう。自社で働く理由や魅力は何なのか、従業員にヒアリングやアンケートを実施するのも一つです。
STEP 2. 競合と比較して差別化ポイントを洗い出す
次に、競合にはない自社独自の強みは何なのかを洗い出します。競合のHPや採用ページを調べ、彼らがどのようなEVPを掲げているのか把握しておきましょう。
STEP 3. 社内を巻き込みながらEVPを作成する
自社と競合の分析が終わったら、EVPの要点をまとめて言語化します。従業員にアンケートを取りながら、作成したEVPの意図が正しく伝わっているか確認しながら進めることが大切です。
STEP 4. 採用したい人材とEVPに乖離がないか確認する
例えば、エンジニアの採用に力を入れたい場合、EVPが営業にフォーカスしたものではエンジニアの応募者にとって魅力的には映らないでしょう。採用したい人材が入社したいと感じられるようなEVPになっているか、最後に確認しましょう。
また、EVPは同じものを使い続けるのではなく、企業の置かれている環境や従業員のEVPに対する意見などを鑑みながら、現場との認識齟齬がないように適宜チューニングしていくことが有効です。
今回はEVPについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。