転職を考えている方のなかには、コンサルタントに興味を持っている方もいるでしょう。しかし、詳しい仕事内容やコンサルティングファームの中身までは知らないという方も少なくありません。
コンサルタントの仕事内容は、業種や企業によってさまざまです。そのため、イメージしているコンサルタントの業務とは違うこともあります。
この記事では、業種ごとのコンサルティングファームの仕事内容や、コンサルタントに必要なスキル、向いている人の特徴まで幅広く解説しています。コンサルタントに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
コンサルタントとは|クライアントの問題を解決に導く専門家
コンサルタントとは、ある分野についての深い知識と経験のもと、主に法人であるクライアントの相談に乗って問題に対する解決策を導く職業のことを指します。基本的には、コンサルティングを行う企業であるコンサルティングファームに属し、日々業務にあたります。
コンサルティングファームは、もともとはアメリカが発祥で、日本には外資系コンサルティングファームが進出してきたことで普及しました。そのため、今でも海外スタイルの外資系コンサルティングファームの数は多いといえるでしょう。
なお、コンサルティングファームでは実績や勤務年数を目安に役職が分かれており、コンサルタントはその役職のなかの一つとなります。以下で、コンサルティングファームのそれぞれの役職について解説します。
コンサルティングファームの役職
コンサルティングファームの役職は、大きく以下の5つに分かれます。ただし、ファームによってそれぞれ呼び名が異なるため、あくまでも参考までに留めてください。
アナリスト
アナリストは、コンサルティングファームに入社して間もない社員や、入社して数年の社員が多く就いている傾向にある役職です。分析や調査、議事録の作成などの業務を行い、経験を積んでコンサルタントに必要な知識を身に付けていきます。
コンサルタント
アナリストの次の役職がコンサルタントになります。目安としては、入社後3〜5年以上経過した方がコンサルタントになることが多い傾向にあります。クライアントの問題点を見極めることを一番に求められますが、同時にアナリストの指導も行います。
マネージャー
マネージャーは、目安として入社10年以内の方が対象となりやすい役職です。いわゆる管理職にあたり、クライアント企業の案件をリードする立場になります。ほかにも、チームの統括や部下の指導などを行い、社内環境の改善に努めます。
シニアマネージャー
シニアマネージャーは、目安として入社15年以内の方が対象となりやすい役職です。企業によっては存在しないケースがあり、マネージャーがシニアマネージャーと同様の業務を担当することもあります。マネージャーと同様、プロジェクトの指揮や統括を担当しますが、社内の人事育成にも大きな責任を持ちます。
パートナー
パートナーは、コンサルティングファームにおいて最高位の役職です。案件に対して最終的な責任を負い、社内においても大きな権限を持つため、経営の方針やその他の意思決定にも多大な影響を与えます。
コンサルティングファームは外資系と国内独立系に分かれる
コンサルティングファームは外資系と国内独立系に分かれ、コンサルタントの働き方もそれぞれ異なります。ここでは、外資系と国内独立系のコンサルティングファームの特徴をそれぞれ解説していきます。
外資系コンサルティングファームの特徴
外資系コンサルティングファームは「プロジェクト型コンサルティング」のスタイルを取っており、1クライアントに対してプロジェクトチームを結成してコンサルティングを行うのが一般的です。
一人のコンサルタントが抱えるプロジェクトは基本的に1件で、クライアントは大企業が中心となります。
コンサルティングファームの種類でいうと、戦略系や総合系、IT系、シンクタンク系などがプロジェクト型で行っているケースが多く、外資系がメインとなります。
国内独立系コンサルティングファームの特徴
国内独立系のコンサルティングファームは「顧問型コンサルティング」のスタイルを取っており、クライアントとは半年や一年など一定期間のコンサルティング契約を結ぶのが一般的です。
一人のコンサルタントが同時に複数のクライアントとやり取りするケースが多く、クライアントは中小企業が中心となります。
代表的な国内独立系コンサルティングファームには、日本経営システムやタナベ経営、船井総合研究所などがあります。
コンサルティングファームの主な種類および仕事内容
コンサルティングファームにはさまざまな種類があり、コンサルタント全員が同じ職務を果たすわけではありません。ここでは、コンサルティングファームの主な種類と、それぞれの仕事内容を解説していきます。
戦略系コンサルティングファーム
戦略系コンサルティングファームでは、企業の経営上にある課題を発見し、解決するための計画を立ててアドバイスをします。企業戦略や事業戦略は戦略系コンサルティングファームが得意としている分野のため、経営者などの上層部とのやりとりがメインとなります。
なお、戦略系コンサルティングファームは外資系企業が中心となっており、グローバル展開されているファームが多いのが特徴です。少数精鋭の企業が多いため、精神的・肉体的な強さが求められますが、その分年収が高い傾向にあり、やりがいを感じられる仕事といえるでしょう。
IT系コンサルティングファーム
IT系コンサルティングファームでは、クライアントである企業の業務課題を見つけ、解決に向けたシステムを設計します。ファームによってはシステムの構築や運用指導なども行っており、なかにはパッケージソリューションを独自開発・研究して導入を支援するなど、独自性を活かしているところも存在します。
近年、IT系コンサルティングの需要は高まりつつあり、続々とユニークな取り組みを推進しているところも多いことから、今後ますますの発展が期待できます。
人事系コンサルティングファーム
人事系コンサルティングファームが請け負っているのは、企業の人事に関する業務です。人材開発における戦略策定や人材の能力開発、給与制度の改革などを行っており、カバーしている領域は幅広いといえます。また、社員育成を課題にしている企業に対して、研修プログラムを企画・開発・提供するファームも存在します。
人事系コンサルティングファームは企業の変革期に携わることが多く、大きな仕事とやりがいを得られるのが特徴です。
金融系コンサルティングファーム
金融系コンサルティングファームは、クライアントである企業の事業や不動産などを踏まえた円滑な資金調達が主な仕事です。その他にも、M&A案件などの事業戦略をクライアント企業に提案しているファームが存在します。
コンサルティングファームに属するコンサルタントは、会計や法務などの専門知識があることはもちろん、国際情勢や金融情勢には常に意識を向けて現状を把握するとともに、企業価値を向上させる役割を担っています。
シンクタンク系コンサルティングファーム
シンクタンク系のコンサルティングファームでは、経済調査のほか、ITコンサルティングやマネジメントコンサルティング、宮内庁向けのリサーチを行っています。金融機関や大手企業が母体となっていることが多く、自ずとその組織の調査案件を多数扱うことになります。
組織とのつながりを利用してバックアップしてもらえることも多く、若いコンサルタントでも関心のある案件を受けられるケースは少なくありません。
総合系コンサルティングファーム
総合系コンサルティングファームでは、企業のトップから一般社員までのすべてのコンサルティングを担います。それぞれの階層に対しての経営・業務課題、戦略策定から支援までをサポートし、ときには問題解決のためのシステム導入もおこないます。
各部門を業界と機能に分け、幅広いテーマや業界に対応できる仕組みを形成するのが特徴といえるでしょう。
コンサルタントに必要なスキル
ここでは、コンサルタントに必要なスキルを解説します。
論理的思考力
論理的思考力は、コンサルタントにとってなくてはならないスキルの一つといえます。
コンサルタントは、クライアントの問題解決のための最善策を考え出し、提案する際には説得力を持たせなければなりません。しっかりと道筋を立てて考えられる論理的思考力があることで、クライアントの納得・共感を得られやすく、スムーズに仕事が進むようになります。
なお、論理性を身に付けるためには、物事を見る際に「何が選択肢としてあるのか」「確立としてはどれが一番影響を与えそうなのか」ということを、日ごろから意識して考えることをおすすめします。
タイムマネジメント能力
タイムマネジメント能力とは、業務の生産性を上げるために「何に時間を使うのか」を考え、適切な優先順位をつけられるスキルのことをいいます。コンサルタントの日々の業務は非常に忙しいため、優先順位をつけて効率的に物事を進めることを常に求められます。
タイムマネジメントができていないと、かけなくてもよいところに時間をかけ、かけなくてはいけないところに時間をかけられなくなってしまう恐れもあるでしょう。
限られたリソースのなかで最大限の成果を上げるためにも、タイムマネジメントを意識しながら仕事に取り組むことが重要です。
リサーチスキル
コンサルタントにとって、リサーチ力も重要なスキルの一つといえます。リサーチ力は、クライアントに提案する解決策の質を大きく左右するといっても過言ではなく、理解度の深さや正確さが求められます。
リサーチした情報が正確性を欠いている場合、正しい解決策を提示できなくなる可能性があり、クライアントの将来に大きな影響を及ぼす恐れもあるでしょう。結果として、クライアントの信頼を失うことにもつながります。
そのため、信頼性のある情報源を見極め、誤った情報を避ける判断力が重要です。場合によっては専門家や業界関係者と連携し、より正確な情報を得る努力が必要になります。
コミュニケーション力
コンサルタントが情報収集する際は、インターネットや書籍だけでなく、クライアントへの質問から得られる生の情報が重要です。クライアントと積極的に関わり、的確な質問をして話を引き出すためにも、コンサルタントには高いコミュニケーション力が求められます。
クライアントと信頼関係を築き、親密な関係を維持できれば、質問や雑談のなかから本音を聞き出せたり、思いがけない貴重な情報を得られたりすることも少なくありません。
また、クライアントによっては考えがまとまっていなかったり、言語化して説明するのが難しかったりするため、丁寧に話を聞き、そのなかで課題を深掘りするような質問ができるとよいでしょう。
英語力
コンサルタントとして活躍するうえで、英語力は必ずしも必須ではありません。しかし、企業やコンサルタントの分野によっては英語力が求められる可能性もあり、英語を習得することで業務の幅が広がるといえます。
特に、外資系コンサルティングファームへの転職を考えている場合、英語力があることで採用において有利に働くケースは少なくありません。海外のクライアントを持つコンサルティングファームでは、英語が必須になるケースもあるでしょう。
英語力があることで仕事の幅が広がり、キャリアアップにつながる可能性もあるため、まずはビジネスレベルの英語力の目安である「TOEIC700点以上」の獲得を目指すことをおすすめします。
関連記事:これを覚えれば完璧!これからの時代に身につけておきたいビジネス英語の基礎知識
コンサルタントに向いている人
ここでは、コンサルタントに向いている人を解説します。コンサルタントに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
知的好奇心が旺盛な人
コンサルタントは、常に新しい情報をインプットしていく必要があるため、リサーチ業務も楽しめるような知的好奇心がある方に向いている仕事といえます。
まったく初めての領域に携わるケースもゼロではなく、その場合は当該領域のプロであるクライアントと同レベル、場合によってはそれ以上の知識を短期間でインプットすることが求められます。その際、インプットが浅いと言っていることに中身がなく、説得力もなくなってしまうため、クライアントの納得を得ることが難しくなるでしょう。
日頃から知らないことを調べることが好きな方にとっては、苦にならない業務のため、自然とインプットの量も増えていき、よいパフォーマンスが期待できます。
相手目線で物事を考えられる人
コンサルタントは、一方的に解決策を伝えて終わりというわけではなく、クライアントの意思決定を支えたり促したりする仕事ともいえます。そこには自分目線の思い込みによる考えは必要なく、クライアント目線で物事を考えられることが求められます。
コンサルティングを行う際は、クライアントの歴史や置かれた立場などを徹底的に調査し、理解することで、より的確な課題分析、適切なソリューション提案、そして効果的な実行支援が可能になります。ときにはクライアントに直接質問し、相手への理解を深める努力が必要になります。
一方で、自身の価値観に固執し、柔軟な対応が苦手な方は、コンサルタントとしての適性において課題があるといえるでしょう。
プロフェッショナルマインドを持つ人
コンサルタントは、クライアントの問題解決のため、自分はその道のプロであるということを自覚し、限られた時間のなかで最後まで責任を持って仕事に取り組む姿勢が求められます。たとえ厳しい環境下だとしても、そのようなプロフェッショナルマインドを発揮できる方は、コンサルタントは最適な職業だといえるでしょう。
また、コンサルタントの仕事には終わりがなく、労力をかければかけるほど付加価値をつけることが可能といえます。そのため、「どれだけ付加価値をつけてクライアントに提案できるか」という姿勢も、コンサルタントの資質の差が出るところといっても過言ではありません。
未経験者がコンサルタントになるには
未経験者がコンサルタントを目指すのはハードルが高いですが、不可能ではありません。ここでは、未経験者がコンサルタントになるために取り組めることを解説します。
なお、第2新卒まではアナリストスタートが基本となります。その場合はコンサルティングファームに入社して経験を積んでから、コンサルタントを目指すことになります。
需要が高い分野を選ぶ
コンサルティングにはさまざまな種類がありますが、なかでもIT系コンサルティングの需要が高い傾向にあります。日本政府が推進しているDXを社内だけで進めていくのは難しく、多くの企業でITに精通したプロの力を必要としているからです。
そのため、IT系コンサルティングファーム各社では、積極的に人材採用を行っています。未経験者で分野のこだわりがないという方は、まずはIT系コンサルティングファームへの転職を視野に入れて、コンサルタントを目指すのも方法の一つといえるでしょう。
なお、IT系コンサルティングファームの多くが外資系のため、即戦力が求められる可能性が高くなります。そのため、ITコンサルティングファームへの転職を考える場合は、IT企業で営業などを経験して業界知識を深めておくことをおすすめします。
転職エージェントを活用する
コンサルティング業界自体が未経験であっても、今までの経験やスキル、知識などを評価されて採用に結びつくケースがあります。特に業界知識が豊富な方であれば、採用の可能性は高まります。
転職を考える際は、転職エージェントを活用することで、今までの経験やスキルを活かせる求人を紹介してもらうことが可能です。特にコンサルティングファームは外資系が多い傾向にあるため、外資系企業に特化した転職エージェントを活用すれば、選択の幅も広がります。
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関連記事:外資系コンサルへの転職は難しい?向いている人と面接のポイントを解説
まとめ
この記事では、業種ごとのコンサルティングファームの仕事内容や、コンサルタントに必要なスキル、向いている人の特徴を解説しました。
コンサルティングファームは業種や企業によってそれぞれ特徴があり、コンサルタントに求められることも異なりますが、共通して大事なのは、クライアントの問題を解決することです。コンサルタント未経験者の方でも、今まで蓄積してきた経験や知識を活かせる可能性はゼロではありません。
そのため、未経験者の方が転職を希望するなら、自分のスキルや今までの職種で得た専門知識を活かせる分野のコンサルタントを目指すとよいでしょう。
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