現在は日本企業に勤務していても、キャリアアップのために外資系企業への転職を考えている方もいるのではないでしょうか?
しかし、これまで外資系企業で働いた経験がないと、どんな風に仕事をするのかイメージできない部分もあるでしょう。そもそも外資系企業にはどのようなものがあるのでしょうか?この記事では、外資系企業の種類や求められる人材まで詳しく紹介します。
外資系企業への転職活動を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
外資系企業とは
外資系企業には、会社の形態別に以下の3種類があります。
- 海外の企業が日本で会社を設立した場合
- 海外の企業が日本の企業と共同出資で会社を設立した場合
- 海外の企業が日本の企業を買収した場合
1番目の「海外の企業が日本で会社を設立した場合」は、海外に本社を持つ企業が、日本に100%出資の子会社を設立するケースです。このタイプの外資系企業は、海外にある本社が会社全体の方針を決めます。一般的なイメージの外資系企業はこちらになるでしょう。
2番目の「海外の企業が日本の企業と共同出資で会社を設立した場合」は、スピードや事業効率の面で共同設立が有利であると考えた海外の企業が選ぶ形式です。海外企業のほうが出資比率が高いときに「外資系企業」という区分になります。
3番目の「海外の企業が日本の企業を買収した場合」も、スピード重視で日本市場に進出したい海外企業が実施する経営手法です。
ゼロから会社を設立するより、すでにある会社を買い取ったほうがビジネス面でメリットが大きいと判断すれば、手ごろな日本企業をリサーチし「買収(M&A)」します。国内企業だった会社が買収を境に外資系企業となるのがこちらのタイプです。
外資系企業の種類
日本でビジネスを展開している外資系企業は、主に下記の5業種に分類されます。ここでは、5種類の外資系企業の特徴や求められる人材およびスキルについて、説明します。
1. 外資系メーカー
業界の特徴
外資系メーカー業界は分類すると以下の業種に分かれます。
- 消費財(シャンプー、洗剤などの日用品など)
- IT(マイクロソフトなどの情報系産業)
- BtoB(企業向けの製品を扱う、例えば工作機械や医療機器など)
- 高価格商品(ブランド品など)
外資系メーカーはアメリカ系かヨーロッパ系かで、社風が違う傾向にあります。
アメリカ系製造業は、成果主義で、スピードやアイデアを重視する個人主義的な文化を持っていることが多いです。成果を上げた人はどんどん昇格する傾向にあるので、変化を求める人に合った社風といえるでしょう。
一方、ヨーロッパ系の企業は、ワークライフバランスを尊重する傾向にあります。オンとオフの切り替えがはっきりしているのが特徴で、経営戦略は短期よりも長期を重視するところが多いです。
さらに、業種によっても異なります。消費財メーカーでは日本企業との競争が激しく、市場シェアを奪うために従業員に負荷がかかるケースもあるようですが、IT系のメーカーでは柔軟な働き方を実施しているところが多く、フレックスタイム制の実施比率が高いとされています。
また、法人向けのBtoB製品販売を行う外資系メーカー、例えば医療機器を扱うようなメーカーの場合は、日本企業と似た伝統的な考え方と企業文化を持つ会社が多いようです。
求められる人材
繰り返しになりますが、アメリカ系企業は個人主義的で、スピーディに成果を出せる人が評価される傾向にあります。逆にヨーロッパ系では、日本のように周囲と協調してよい関係を築き、最終的に高い実績を出せる人材が求められるとされています。
求められる職種
外資系メーカーで求められる職種には以下の2つがあります。
- 「フロント」と呼ばれる営業やマーケティング(ミドルオフィスと呼ばれることもある)
- 「バックオフィス」と呼ばれる管理部門や人事系
求められるスキルと代表企業を紹介
職種にもよりますが、外資系メーカーでは、高い英語力が要求される傾向にあります。目安となるTOEICスコアは900点近くだとされているほどです。メーカー以外の外資系企業で必要とされるのは700点程度だとされているので、かなり高いレベルが求められているといえます。自社製品を売り込むためには、その魅力を説明できる言語能力が必要だということでしょう。
【代表企業】
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン、日本ロレアル、ユニリーバ・ジャパン、フィリップ・モリス・ジャパン、スリーエムジャパン、ネスレ日本、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループなど
2. 外資系IT企業
業界の特徴
外資系IT企業の事業内容は、企業によってさまざまです。WEBサービスを作る会社、ソフトウェア開発をする会社、公共分野や法人向けのシステム構築など、多くの分野が存在します。
外資系IT企業は、会社の歴史が浅くて若い企業が多いので、意思決定が早くて個人に委ねる裁量が大きい傾向にあります。変化の激しい業界なので、そのスピードについていけるかどうかがポイントとなるでしょう。
求められる人材
前述のとおり、外資系IT系企業は変化が激しく技術の進歩が早いため、さまざまな業務に対応できる柔軟な人材が求められるといってよいでしょう。働いている人の平均年齢が若いため、新たに入社するのも若い人を希望する傾向があります。中途で採用される人の年齢は、35歳から40歳程度までが多いようです。
求められる職種
外資系IT企業内の職種としては、以下のような部門があります。
業種別に求められる職種を紹介していきましょう。
- ソフトウェアやハードウェアのメーカー系IT企業
- ベンダー系IT企業
メーカー系のIT企業では、本社が開発したソフトウェアやハードウェアを日本市場向けに最適化したり、販売促進するポジションにニーズがあります。(企業の例:日本マイクロソフト)
ベンダー系IT企業では、製品開発は海外の開発拠点で行われているため、日本国内にある職種は営業やマーケティングがメインとなります。エンジニアや技術職の募集は少なめです。(企業の例:日本オラクル)
求められるスキルと代表企業を紹介
外資系IT企業では、製品知識やIT戦略、プロジェクトマネジメントなどのスキルが必要とされます。
【代表企業】
グーグル、日本オラクル、日本マイクロソフト、アマゾンジャパン、ブルームバーグ、日本IBMなど
3. 外資系金融
業界の特徴
外資系金融業界は分類すると以下の業種に分かれます。
- 投資銀行
- 証券会社
- 生命保険会社
- 損害保険会社
- クレジットカード会社
外資系金融業界は、他業界よりも高報酬、高待遇が望めるとされている業界です。徹底した能力・成果主義を採用しているため、成果を出せば年齢に関係なくステップアップできるでしょう。世界情勢の変化をダイレクトに受けるシビアな業界ですので、安定を求める人には向かないかもしれませんが、挑戦したい人には魅力的な業界だといえるでしょう。
求められる人材
前述のとおり、変化の激しい業界ですので、新しい仕組みを理解して周囲を巻き込んだり協力を得たりしながら、確実に実績を上げられる人が求められています。また個人としてスキルアップし、成果を出し続けられることも重要となるでしょう。また、グローバル企業は、多様な背景を持つスタッフで構成されますので、どのような人ともコミュニケーションが取れる能力も併せて求められるでしょう。
求められる職種
外資系金融での職種としては、以下のような部門があります。
- IBD部門(M&A、運用するための資産を調達する)
- マーケット部門(債権や株、投資信託などの金融商品を販売する)
- アセット・マネジメント部門(資産運用する)
- 営業(フロントオフィス)
- バックオフィス(扱う金融商品の動きのデータ化、決済)
求められるスキルと代表企業を紹介
外資系金融業界では、高い英語力と金融に関する豊富な知識が求められます。
【代表企業】
ゴールドマン・サックス、UBSグループ、クレディ・スイス、バークレイズ、J.P.モルガン、メリルリンチ、モルガン・スタンレー証券、シティグループ、ドイツ銀行、アユタヤ銀行など
4. 外資系コンサルティングファーム
業界の特徴
外資系コンサルティングファームは、企業から依頼を受け、問題解決や経営戦略立案などのサービスを提供する会社です。企業規模は大きくありませんが、顧客に渡す価値が大きいため、高い報酬が期待できるでしょう。
外資系コンサルティングファームは、いくつかの種類に分かれ、それぞれ強みが違います。
- 戦略系
企業経営のトップレベルの戦略立案や問題解決を図ります。 - 財務アドバイザリー系
総合系とも呼ばれ、かつては会計事務所だった会社もあります。
IT分野のシステム導入、経営、財務、人事、M&Aなど多岐に及ぶアドバイスを提供できます。 - IT系
システム構築と、システム戦略決定に必要なビジネスコンサルを行う「SIer」と、業務基幹ソフトの導入と、導入にともなうサポートや知識提供を行う「ベンダー系」があります。 - 専門系
「人事コンサル」「ブランド戦略」「企業再生」など、専門的な分野に特化して、問題解決を図ります。
求められる人材
外資系コンサルティングファームでは、短期間に各顧客向けのサービスをアウトプットし、高い成果を出すことが求められます。職種によっては作業量が多くなることもあるため、「体力」と「集中力」も必要とされるでしょう。また、顧客の相談に乗って課題を聞き出すヒアリング能力や、相手に喜んでもらいたいという「サービス精神」も必要だとされています。
求められる職種
外資系コンサルティングファームは、以下のようなポジション構成となっています。
- パートナー
顧客獲得とプロジェクト受注を担う営業、またはファームの経営をします。 - マネージャー
プロジェクトの管理担当です。スケジュール管理や人員マネジメントをします。 - コンサルタント
問題解決のための仮設設定や検証を担当します。 - アナリスト
情報収集、分析、資料作成担当です。
求められるスキルと代表企業を紹介
高い英語力を含めたコミュニケーション能力が必要とされるでしょう。また柔軟な思考で問題を解決する力、論理的に考える力が求められるとされています。
【代表企業】
マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー、アクセンチュア、ローランド・ベルガー、アーサー・D・リトル・ジャパン、プライスウォーターハウスクーパースなど
5. 外資系広告代理店
業界の特徴
日本の広告業界は、2000年ごろの金融自由化とともに国際化が進んだといわれています。そして、日本に進出する海外資本の企業が増えた結果、広告主であるクライアントにも外資系企業が占める割合が増えました。よって、広告戦略に世界共通のグローバル基準が求められるようになったことから、メディアとの間を取り持つ広告代理店にも外資系企業が増えることになりました。
求められる人材
外資系の広告代理店では、即戦力が求められる傾向にあります。新卒を育成することはほぼないため、社内に必要な人材はプロジェクト単位で他社から引き抜くこともあります。
学歴よりも実績が重視され、これまでどんな仕事をしたか、どんなクライアントの仕事を受けたか、どんな賞を取ったか、といったことが重要とされるでしょう。
求められる職種
外資系広告代理店で求められる職種には以下があります。
- 営業
- プランナー
- クリエイティブ担当(コピーライター、デザイン等)
- デジタルマーケティング
近年は広告と経営戦略との一貫性が強く求められるようになり、コンサルティングやマーケティング関連の経験を積んだ人材のニーズが高まってきている傾向にあります。また、マス媒体よりもWEB広告への出稿数が伸びていることから、デジタルマーケティング関連の職種に高いニーズがあります。
求められるスキルと代表企業を紹介
外資系広告会社では、必ずしも高い英語力が求められるわけではないでしょう。なぜなら、広告の対象は日本人で、広告主であるクライアントも日本企業が多いからです。しかし、広告主の中には世界でビジネスを展開するグローバル企業の場合や、報告をする上司がイングリッシュスピーカーである場合は、英語による提案や分析、報告を求められるなど、英語力が必要な企業もあります。
【代表企業】
WPPグループ、ピュブリシス・グループ、インターパブリック・グループ(IPG)、ハバスなど
まとめ
日本に進出している外資系企業には、大きく分けてメーカー、IT系、金融系、コンサル系、広告代理店の5種類の業種があります。
外資系企業では、企業形態によって、仕事の内容や求められる能力、英語力も変わってきます。実績を出せば高い報酬を得られる可能性があり、大きな裁量とやりがいが期待できるのが外資系企業の特徴といってよいでしょう。
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