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転職活動において「前職の転職理由」を聞かれる場面は多くあります。転職理由は選考結果を左右する重要な質問のため、事前の対策が必要です。
事実をありのままで伝えるのではなく、ポジティブな表現に言い換えることで、採用担当者に与える印象が大きく変わります。
当記事では、ポジティブな印象で転職理由を伝えるポイントを例文付きで紹介します。注意点や履歴書における転職理由の伝え方も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
企業が面接で転職理由を聞く理由とは
企業が面接で転職理由を聞く主な理由は以下のとおりです。
- 自社で活躍できる人材か判断するため
- 同じ理由で退職しないか判断するため
企業は面接を通して、応募者を採用することで自社にプラスの影響を与えるか否かを判断しています。自社と応募者のビジョンやキャリアプランが一致していれば「入社後も高いモチベーションを維持しながら働いてもらえるだろう」と判断してもらえる可能性が高まります。
また、転職理由を聞くことで、企業は応募者が以前の職場を離れた背景を理解し、同様の事象が自社で発生する可能性があるかを見極めます。
例えば、前職の転職理由が特定の業務に対する不満であり、選考先にも同様の仕事が含まれる場合、企業は応募者が長期的に業務に取り組む姿を想定し難くなってしまうでしょう。
転職経験者に多い転職理由
転職経験者に多い転職理由は以下のとおりです。
順位 |
転職理由 |
1位 |
職場の人間関係が悪い |
2位 |
給与が低い |
3位 |
会社の将来性に不安を感じた |
4位 |
社風・風土が合わない |
5位 |
評価・人事制度に不満があった |
参考:『エン転職』1万人アンケート(2022年10月)「本当の退職理由」実態調査
転職理由として最も多いのは、職場の人間関係に関するものです。また、多くの方が給与に対する不満も挙げています。
転職先の企業で実力を十分に発揮するためには、前職の転職理由を踏まえたうえで、自身に合った仕事や職場を見つけることが重要です。
ポジティブな印象で転職理由を伝えるためのポイント
ポジティブな印象で転職理由を伝えることで、選考通過・内定獲得率の向上が期待できます。ここでは、選考時に有効な転職理由の伝え方を紹介します。
転職理由をポジティブな表現に言い換える
面接時に転職理由を伝える際は、内容をポジティブな表現に言い換えることが大切です。
前職での不満や問題点をそのまま伝えると、面接官にネガティブな印象を与え、愚痴と捉えられてしまう可能性があります。たとえ本当の転職理由がネガティブな内容だったとしても、それをポジティブに表現することで、仕事に対する意欲的な姿勢を示しやすくなります。
また、転職理由を述べる際は、過去の仕事に対する不満や問題点に対してどのように解決策を模索し、どう行動を起こしたかまでをしっかり伝えることが大切です。具体的なエピソードを加え、自身が積極的で解決志向の強い人物であることをアピールしましょう。
伝えないことを決めておく
ポジティブな印象で転職理由を伝えるためには、あえて話さなくてもよいことを決めておくのも有効です。
例えば、待遇面に関する理由の場合は「年功序列により昇進に時間がかかる」といった事実に基づく内容は伝えても「昇進できなければ給与が上がらない」のようなネガティブなことはあえて話さないのが無難です。
選考時には、転職理由に関する質問を受ける場面が多くあります。事前に「ここまでは伝えるが、〇〇に関しては触れない」と決めておくだけでも、落ち着いて面接に取り組めます。
転職理由とキャリアプランを絡めて説得力を持たせる
転職理由とキャリアプランを絡めて伝えることで、説得力を持たせるのもポイントです。転職理由を過去の振り返りにとどめるのではなく、前職の経験が未来のキャリアプランにどのようにつながるかを具体的に語ることで、一貫性と熱意が伝わりやすくなります。
また、前職で培った経験を転職先でどのように活かせるかを明確に示すことも重要です。具体的かつ説得力のあるキャリアプランを示すことで、企業にポジティブな印象を与えられます。
転職理由を伝える際の3つの注意点
ここでは、転職理由を伝える際の注意点を3つ紹介します。
嘘をつかず、本音を伝える
面接で転職理由を伝える際は、嘘をつかず、正直に本音を話しましょう。
転職理由をポジティブに言い換えることは大切ですが、内定が欲しいからと嘘をつき、採用担当者に見抜かれた場合、不採用のリスクが高まってしまいます。また、万が一採用されても、嘘が発覚した場合に職場での信頼を失うかもしれません。
転職理由を正直に話すことで、キャリア形成における現状の問題点や、自身が求める職場環境を明確に企業に伝わりやすくなります。ミスマッチが少なく、納得できる職場で働くためにも、面接時に嘘の転職理由を伝えるのは避けましょう。
転職理由と志望動機に一貫性を持たせる
転職理由と志望動機を伝える際は、両者に一貫性を持たせることが大切です。転職理由が前職での課題や不満に関連している場合、それが新しい職場での志望動機と矛盾しないように調整する必要があります。
例えば、転職理由として前職での人間関係の問題を挙げるなら、新しい職場では「コミュニケーションやチームワークを重視したい」という姿勢を志望動機として強調すると、一貫性を保ちつつ、面接官に好印象を与えられます。
自身の経験を学びに変え、それを新たな環境で活かしたいという意欲を示すためにも、転職理由と志望動機に乖離のある内容にならないよう注意が必要です。
年収・待遇面・ハラスメントの理由は避ける
転職理由を伝える際、年収や待遇面、ハラスメントの話を前面に出すことは避けるのが無難です。具体的な例として、以下のような理由が挙げられます。
- 給与が低かった
- ボーナスが支給されなかった
- 有給を取得できなかった
- 上司からハラスメントを受けた
上記を主な退職理由として挙げてしまうと、採用担当者に自身の価値観が金銭的側面に偏っていると捉えられてしまう可能性があります。
面接時に転職理由を聞かれた場合は、年収や待遇面よりも、キャリアアップやスキルの向上など、職務内容に対する強い動機や興味を示すことが大切です。
また、ハラスメントはどの程度のものだったのかを正確に伝えるのは難しく、採用担当者がどのように受け取るかわかりません。内容や程度がうまく伝わらず、ネガティブな印象を与える可能性があるため、転職理由としては避けるのが無難です。
転職理由別 | ポジティブな表現例文
ここでは、転職理由別にポジティブな表現例文を紹介します。それぞれ押さえておくべきポイントも解説するので、参考にしてみてください。

年収や待遇面に不満がある場合
前職では、専門商社の営業として従事しておりました。新規顧客の開拓や既存取引の拡大に注力し、昨年対比110%も達成しております。
ただし、前職は評価制度が十分に整っておらず、実績が正当に反映されにくい環境でもありました。そのため、御社の評価制度に強く魅力を感じております。
これまで培った営業力を活かし、御社に長期的に貢献していきたいと考えています。 |
年収や待遇面に不満があった場合は、正直な理由を前面に出すのではなく、評価制度の観点からポジティブな表現に言い換えるのがポイントです。
評価制度は企業によって異なり、個人の成果より社歴やチームワークなどを重んじる場合もあります。前職での具体的な成果を挙げつつ、企業独自の評価制度によって十分な評価を得られなかったこと、自身の努力や実力では解消できない課題があったことを伝えるのが重要です。
そのうえで、正当な評価によって年収や待遇面が改善された場合に、企業にとってどのような利点があるかを伝えることも大切です。
労働環境(残業・休日出勤)にストレスを感じている場合
前職では専門商社の営業として多様な案件に取り組み、やりがいを感じておりました。一方で、業務量が非常に多く、残業が40時間を超える月があったり、休日対応が続いたりしたことで、より効率的に成果を上げる働き方を希望するようになりました。
貴社のワークライフバランスがとりやすい働き方に非常に魅力を感じております。今後は時間を有効に活かしつつ、これまで培った営業力を発揮して、御社の発展に長期的に貢献していきたいと考えています。 |
長時間労働や休日出勤などは、具体的な数字や頻度を伝えることで、採用担当者に納得してもらいやすくなります。例えば、36(サブロク)協定の上限である月45時間を超えそうな月があったり、十分な休息がとれないことでパフォーマンスを発揮できなかったりといったエピソードを交えて伝えましょう。
また、残業や休日出勤に対する否定的な言葉ではなく「効率的に働きたい」というポジティブな表現を使用するのも有効です。
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
キャリアチェンジが目的の場合
前職では機械部品の営業として、顧客の課題解消のために尽力しておりました。業務上エンジニアと連携をすることが多く、ヒアリングを通して技術の力で直接的に価値を生み出すことに大きな魅力を感じました。
自らも技術者として価値を創出したいという思いが強まり、エンジニアとしてキャリアを築くことを決意しました。現在は独学でJavaScriptを習得中です。今後は御社で技術力を磨き、顧客や事業に貢献していきたいと考えています。 |
キャリアチェンジや未経験転職をする場合は、それに至った経緯やエピソードを交えることで熱意が伝わりやすくなります。
「憧れていた」「やりがいを感じられそう」などの抽象的な言葉ではなく、具体的にどのような点に魅力を感じ、自身の経験をどう活かせるのかをアピールすることが重要です。
「営業職はノルマがきつかったため」「エンジニアは残業時間が多かったため」など、ネガティブかつ前職を否定するような表現は避けましょう。
現職の将来性が不安な場合
現職ではOA機器のカスタマーサポートとして、顧客対応やトラブル解決に注力し、信頼関係を築く経験を積んできました。しかし、業界の変化や会社の事業規模を踏まえるなかで、将来的な成長機会に不安を感じるようになりました。
今後は、御社の安定した事業基盤のもとで、これまでの経験を活かしながら長期的に貢献していきたいと考えています。 |
業績不振やリストラ、倒産などは、自身で解決できるものではありません。
転職理由が会社の将来性に関するものの場合、まずは「企業や売上のために尽力した」など、工夫や改善を行った旨を伝えます。そのうえで「尽力したが、やはり将来性を考えて転職を決意した」「会社の成長性を実感できる会社で活躍したい」といった前向きな表現で転職理由を伝えることが重要です。
家庭の都合による転職の場合
現職では専門商社の営業として、新規開拓や既存顧客の深耕に注力し、個人目標を毎年更新するなど、成果を実感しておりました。しかし出産を経験したことで、現在の働き方では両立が難しいと感じ、転職を決意しました。
今後はワークライフバランスを保ちながらも、責任ある業務で御社に貢献していきたいと考えています。 |
家庭の都合による転職の場合は、伝えられる範囲で正直に話すのがポイントです。結婚・介護にともなう転居や、出産後の働き方の見直しなど、嘘をつかず正直に伝えましょう。
転職に至った背景を簡潔に説明しつつ「新しい環境で自身の経験を活かせる仕事がしたい」「前職の経験を活かして御社に貢献したい」など、前向きな姿勢をアピールするのが重要です。
また、子育てが理由で転職をする場合は、家族や周囲のサポート体制まで伝えることで、採用担当者に安心感を与えられるでしょう。
履歴書における転職理由の伝え方
履歴書に転職理由を記載する際は、以下の3つのポイントを意識するのがおすすめです。
- 重要な点は2つほどに絞る
- 論理的かつ簡潔に記載する
- 内容に一貫性を持たせる
まずは転職理由を簡潔にまとめたのち、詳細を加筆するのがおすすめです。転職理由が多すぎると、転職する目的が不明確に見え、企業から「この応募者は転職において軸がない」と捉えられてしまう可能性があります。
上記3つのポイントを意識しながら自身の転職の軸を整理することで、読み手にとって理解しやすい文章を記述できます。
まとめ:ポジティブな転職理由を伝え、外資系・日系グローバル企業への転職を目指す方は、エンワールドへの登録をご検討ください
選考時に転職理由を聞かれる場面は多くありますが、前職の不満をそのまま伝えてしまうと、採用担当者にネガティブな印象を与えてしまいます。嘘をつく必要はないものの、転職理由をポジティブな表現に言い換えることで、相手に好印象を与えられます。
特に、外資系・日系グローバル企業の多くは、前職の経験やスキルを活かしつつ、自社で即戦力として活躍できる人材を求める傾向が高いです。転職成功を実現するためには、ポジティブな転職理由を活かし、自身の魅力をアピールすることが重要です。
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執筆者: エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。