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40歳以降の転職を考えると、「希望する条件の転職先は見つかるだろうか」「転職に失敗したらどうしよう」など、不安を感じやすいものです。また、現在の会社での昇給やキャリアアップの期待値が低く、定年まで働き続けられるか心配な方もいらっしゃるでしょう。
40代からの転職は若い世代と比較すると難易度が高いものの、培った経験やスキルを踏まえて丁寧に準備を進めることで、転職成功の可能性は十分にあります。
本記事では、データに基づいて40代からの転職の現状と課題を解説するとともに、転職成功のポイントも紹介します。40代からの転職をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
40代からの転職が難しいといわれる3つの理由
40代からの転職が難しいといわれる理由について、3つのポイントから解説します。
40代を対象とした求人が少ない
40歳以降の転職において、大きな課題となるのが求人数の少なさです。
年齢階級別で有効求人倍率を見ると、年齢層が上がるにつれて、有効求人倍率は徐々に下がる傾向にあります。これは企業側が採用したい人材の数よりも、実際に転職を希望する40代の方が多いことを意味しています。
年齢階級 |
有効求人倍率(※) |
34歳以下 |
1.78 |
35~44歳 |
1.47 |
45~54歳 |
1.01 |
55歳以上 |
0.81 |
※有効求人倍率とは「有効求人数÷有効求職者数」の数式で算出される。倍率が1より大きい場合、求職者の数より、企業の求人数が多い実態を示す。
参考:関東労働市場圏有効求人・有効求職 年齢別バランスシート(一般常用) 令和6年12月|厚生労働省東京労働局 より作成
年齢層が上がるほど有効求人倍率が下がる理由には、ある程度の職務経験を持つ40代は、若い世代と比較して「育てにくい」「扱いにくい」と認識されているためと考えられます。結果として、40代は若い世代と比較して転職の機会が限られているのが現状です。
条件が合いにくい
40歳以降の転職は、条件面でのミスマッチが起こりやすいため、難易度が高いとされています。これは、職種や仕事内容に限らず、転職希望者本人が置かれた状況も大きく関係します。
一般的に40代は、家族との時間や暮らし方に変化が生じやすい時期です。例えば、子どもの成長にともなう変化への対応や、親の生活をサポートする場面が想定されます。また、自宅を購入している方も多く見受けられます。
そのため転職において、勤務地や勤務形態の柔軟性や、収入の安定性を必須条件に挙げる方も少なくありません。40代の転職はこのように譲れない条件が増えることで、企業が提示する条件と合いにくくなる傾向が見られます。
高いスキルと経験が求められる
40代からの転職では、若い世代以上に即戦力としての活躍が期待されます。
企業側は40代の転職者に対して、これまでのキャリアで培った経験やスキル、実績などを求める傾向があります。特にマネジメントスキルを評価する企業は多く、管理職経験が必要とされることも珍しくありません。
40代以降は、若い世代と比較して求められる知識やスキルが高度な分、転職の難易度が高くなりがちです。
転職入職率から見る40代の転職事情
ここでは、厚生労働省が発表している転職入職率のデータから、40代の男女別の転職状況を詳しく見ていきます。
40代男性の転職事情
40代男性の転職入職率を見ると、転職の難しさが数字から読み取れます。
年齢階級 |
一般(※) |
40~44歳 |
5.5% |
45~49歳 |
4.6% |
※一般とは「期間の定めがない」または「1ヵ月以上の期間の定めがある」常用労働者のうち、パートタイム労働者ではない労働者のこと。パートタイム労働者よりも所定労働時間・日数が多い正社員や派遣労働者などを指す。
参考:令和5年雇用動向調査結果の概況 │3 転職入職者の状況 (1)年齢階級別転職入職率 |厚生労働省 より作成
40~44歳の転職入職率は5.5%に対し45~49歳は4.6%と低くなっており、年齢が上がるにつれて転職市場における競争が一段と厳しくなることがわかります。
このことから、40代男性の転職活動はより戦略的に行う必要があるといえます。
40代女性の転職事情
40代女性の転職入職率は、同年代の男性よりも高くなっています。
年齢階級 |
一般(※) |
40~44歳 |
7.5% |
45~49歳 |
7.7% |
※一般とは「期間の定めがない」または「1ヵ月以上の期間の定めがある」常用労働者のうち、パートタイム労働者ではない労働者のこと。パートタイム労働者よりも所定労働時間・日数が多い正社員や派遣労働者などを指す。
参考:令和5年雇用動向調査結果の概況 │3 転職入職者の状況 (1)年齢階級別転職入職率 |厚生労働省 より作成
特に45~49歳の女性は7.7%と、同年代の男性(4.6%)の1.5倍以上となっており、男性と比較してより柔軟な働き方を選択できる可能性があります。
しかし、女性全体では19歳以下の階級で転職入職率がピーク(23.9%)となり、その後低下していることから、若い世代と比較すると40代の転職の難易度は高いといえます。
40代からの転職を成功させる5つのポイント
難易度が高い40歳以降の転職を成功させるためには、計画的な準備と戦略的な転職活動を行う必要があります。
ここでは、転職成功のための5つの具体的なポイントについて解説します。
経験やスキルの棚卸しをする
企業は、40代に対して経験と高いスキルを求めています。そのため、まずは自分の持つ経験やスキルを整理し、客観的に評価することが重要です。
スキルの棚卸しによって自分の強みが明確になり、それらを活かせる職種や業種を見つけやすくなります。未経験の職種や業種に挑戦する場合も、これまでの経験やスキルを活かせる可能性が見えてきます。
自分に合った職種や業種を洗い出す
棚卸しした経験やスキルをもとに、自分に合った職種や業種を洗い出します。
労働政策研究・研修機構が発表した「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成」によると、転職後の満足度や評価が高いのは、以下の4つのパターンのうち「役割明確×専門職」だとされています。
- 役割明確×専門職
- 役割明確×非専門職
- 役割曖昧×専門職
- 役割曖昧×非専門職
具体的には、現在の職種を活かしながら業界を変える「同職種×異業種」や、同じ業界で違う職種に挑戦する「異職種×同業種」を選択すると、転職成功の可能性が高まります。
希望条件を明確にする
希望条件を具体的にリストアップし、優先順位をつけておくことが大切です。
40代の転職は求人数が限られる傾向にあるため、すべての条件を満たす求人を見つけるのは容易ではありません。
そのため、給与や勤務地、職種、福利厚生など、譲れない条件と調整可能な条件を明確に区別し、優先順位をつけておきます。これにより、転職先の選択肢を広げつつ、自分の理想に近い職場を見つけやすくなります。
転職に有利に働く資格取得を目指す
40代の転職では、即戦力として働ける人材の需要があるため、経験やスキルを客観的に証明できるようにしておくのがおすすめです。
特に、転職を考えている職種や業界で役立つ資格を取得することで専門性をアピールでき、転職市場での競争力を高められます。また、資格取得は自己研鑽の証としても評価され、転職後のキャリアアップにつながる可能性もあります。
関連記事:20代・30代・40代の転職に役立つおすすめの資格とは?職種別に有利な資格を紹介
転職エージェントを活用する
転職エージェントの活用は、40歳以降の転職成功率を高める重要な要素です。
プロのキャリアコンサルタントによるアドバイスを受けることで、自分では気付かなかった職業適性を発見できる可能性があります。また、エージェントが持つ豊富な求人情報や企業とのネットワークを活用することで、転職の機会がより広がります。
さらに、書類作成や面接対策などのサポートも受けられるため、転職活動を効率的に進めたい方にもおすすめです。
40代で未経験職種に転職するコツ
転職に際しては、これまでに経験のない職種を選択し、新たなキャリアを積む選択肢も考えられます。
ここでは、40代で未経験職種への転職を考えている方に向けて、成功のポイントを3つ解説します。

これまでに培った汎用スキルを活かす
40歳以降の転職活動では、特定の経験や資格だけでなく、汎用的なスキルもアピールポイントになります。特に以下のようなスキルは、多くの職種で必要とされています。
- コミュニケーション能力
- リーダーシップ
- 問題解決能力
- 交渉力
- 適応力
例えば、業務で身につけた交渉力や環境変化への適応力、チームでの業務を円滑にするコミュニケーション能力などは、職種を問わず重宝されるスキルです。
これらのスキルは長年の職業経験を通じて磨かれたものであり、未経験の職種でも十分に活かせます。
ミドル層を対象にした求人に注目する
近年、経験豊富で即戦力となるミドル層(35~50歳)の採用に積極的な企業が増えています。特に、マネジメント経験やプロジェクト管理能力を持つ40代は高い需要があるため、未経験職種でも採用の可能性が高まります。
また、企業の経営に関わる重要な役職や、給与水準の高いハイクラス求人においても、経験豊富な40代を求めるケースは珍しくありません。
年齢よりもキャリアとスキルを重視するミドル層向けの求人は、40歳以降の転職にとって魅力的な選択肢となっています。
関連記事:ミドル世代が転職を成功させるには?戦略のポイントと求められるスキルを解説
未公開案件に応募する
ハイクラス求人や専門性の高い職種は、一般に公開されていない「未公開案件」が多数存在します。
未公開案件の特徴は、企業が求める人材の要件が明確で、豊富な経験を持つ即戦力を必要としている点です。そのため、40代の転職者にとって、これまでに培ったキャリアやスキルを活かせる可能性が高くなります。
こうした案件にアクセスするには、業界や企業情報に精通した転職エージェントの活用が効果的です。専門のコンサルタントのサポートを通じて、自己アピールの作成や面接対策もできるため、成果につながりやすい転職活動が可能になります。
ジョブ型雇用への転換も視野に!40代におすすめの外資系企業転職
40歳以降の転職では、従来の日本型雇用にとらわれず、ジョブ型雇用を採用する外資系企業への転職も検討する価値があります。
経済産業省が令和4年に発表した「未来人材ビジョン」では、40代を含むミドルレンジの転職において、日本特有の無限定正社員ではなく、ジョブ型雇用に転換する考え方に触れられています。
日本企業の多くは、終身雇用や年功序列を取り入れた経営が特徴で、新卒社員を採用して社内で育成し、同一企業内で年収・キャリアアップを目指す流れが一般的です。
一方で、外資系企業や日系グローバル企業に多いジョブ型雇用では、職務に必要な経験やスキルを持っているかで雇用され、成果に応じて給与が変動する仕組みが主流です。
そのため、40代でもこれまでに培った専門性や経験が適切に評価され、転職後も実力に見合った処遇を期待できます。特に、グローバルな職務経験や英語力を持つ方には、外資系企業への転職がキャリアアップのチャンスとなりえます。
関連記事:ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との違いや導入企業の事例を解説
まとめ:40代からの転職を後悔しないために、転職エージェントの活用もご検討ください
40歳以降の転職は、経験や高いスキルを求められる場合が多く、かつ求人数が少なくなる傾向にあることから、難易度が高いといわれています。転職を成功させるためには、自分の経験やスキルを活かせる職種や業種を選ぶことが大切です。
また、ジョブ型雇用を採用する外資系企業や日系グローバル企業を視野に入れると、選択肢が広がります。
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