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人生100年時代といわれる現代において、50代でさらなる活躍やライフスタイルの変更を目指して転職するのは、魅力的な選択肢の一つです。しかし、50代からの転職が現実的かどうか疑問を持たれている方もいるでしょう。
この記事では、転職を希望する50代の方に向けて、最新の転職事情を詳しく紹介します。
加えて、50代で転職を希望する方に企業が求める人材像や転職に向けたコツも紹介するので、希望のキャリアが実現できるよう、ぜひ最後までご覧ください。
50代の転職は現実的?
結論からいうと、管理職としての経験や業界の知識などを活かして転職を実現させた例はあり、50代での転職は可能です。
50代の転職活動の実情はどうなっているか、詳しく紹介していきます。
50代の転職者は増加傾向でチャンスは広がっている
近年、50代の転職者は増加傾向にあり、希望のキャリアを実現するチャンスは広がっています。以下は総務省の「労働力調査(令和5年)」による転職者数のデータです。
<西暦:45〜54歳/55〜64歳/全年齢>
・2014年:41万人/40万人/291万人
・2023年:57万人/50万人/328万人
2014年と2023年を比較すると、転職者数は45歳〜54歳で16万人増、55歳〜64歳で10万人増となっており、それに含まれる50代の転職者数も増えていると考えられます。
また、2023年に45歳~54歳と55歳~64歳の転職者数の合計が全年齢の約3割を占めていることからも、50代の転職は珍しくないといえるでしょう。
男性・女性いずれも50代で転職できている
50代の転職者を性別ごとにみると、男性・女性いずれも転職できていることが読みとれます。厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」によると、男性・女性それぞれの転職入職率(労働者数に対する転職者数の割合)は以下のとおりです。
<年齢:男性/女性>
・50〜54歳:5.1%/9.6%
・55〜59歳:5.7%/7.3%
・全年齢:8.7%/10.8%
上記の表から、50代の転職入職率は全年齢と比べると低いものの、男性・女性ともに一定の割合で転職している実態が分かります。
なお、女性の転職入職率が男性を上回る背景として、転職が比較的容易なパートタイム労働者が男性よりも女性に多いことが指摘できます。
転職後の年収アップが難しい場合がある
50代の転職者は増加傾向にあるものの、転職後に年収が下がる割合が多いなど、厳しい実態があるのも事実です。厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」では、50代の転職者のうち賃金が変動した方の割合が以下のとおりまとめられています。
<年齢:増加/減少/変わらない>
・50〜54歳:24.9%/36.1%/37.4%
・55〜59歳:29.1%/39.9%/28.4%
・全年齢:34.9%/33.9%/29.1%
全年齢のデータをみると、賃金の増加が減少を上回っているのに対して、50代の転職者は賃金の増加が減少を10%ほど下回っています。
転職による待遇の改善は容易ではなく、希望のキャリアを実現するためには戦略的な企業選びや面接対策が重要になります。
50代の転職が厳しいといわれる背景
ここでは、50代の転職が20代~30代の転職よりも厳しいといわれる背景として、3つのポイントを紹介します。50代の転職の現実をしっかり認識したうえで、転職の準備を進めましょう。
50代向けの求人数は20代~30代と比較して少ない
50代向けの求人数は、20代~30代と比べて少ない傾向にあります。背景としては、企業が社員に対して長期的な育成・就業を望んでいる場合が多いことなどが挙げられます。
令和6年3月の関東労働市場圏における、各年齢層の有効求人数と有効求人倍率は以下のとおりです。
<年齢:有効求人数/有効求人倍率>
・34歳以下:17.3万人/1.64
・35〜44歳:8.0万人/1.33
・45〜54歳:6.9万人/0.91
・55歳以上:6.5万人/0.74
※参考:関東労働市場圏有効求人・有効求職 年齢別バランスシート|東京労働局
上記の表から、年齢が高くなるほど採用の競争率が厳しい実態が読みとれます。50代の転職では、限られた選択肢から自分に合った企業を見つけ出すことが重要です。
職場への適応力が懸念される場合がある
50代の転職者は、新しい職場や業務へ柔軟に適応できるかどうかを企業側から懸念される場合があります。50代は経験が豊富だからこそ、仕事の進め方にこだわりを持っている可能性があるためです。
特に、若い世代の社員が中心の企業では、年下の同僚から業務について教わる機会が少なくありません。ITツールの利用やリモート業務など、新しい働き方を徹底している企業もあります。
採用面接を通じて、新たな環境への適応力が厳しくチェックされる可能性がある点に注意が必要です。
求める年収や役職とのミスマッチが起こりやすい
自身が求める年収や役職とのミスマッチが起こりやすいことも、50代の転職の特徴です。
転職先の仕事内容が前職に近い場合、経験年数が評価され、希望どおりの待遇を得られる可能性が高まります。一方、未経験の業界や職種へと転職する場合は即戦力になりにくく、今いる職場よりも好条件で転職するのは容易ではありません。
転職後は慣れるまで仕事の負担が大きくなる一方、転職前よりも待遇が低くなる場合があることは押さえておく必要があります。
50代の転職希望者に企業側が期待すること
増加傾向にある50代の転職希望者ですが、企業側は採用にあたって何を求めているのでしょうか。
ここでは、企業側が転職希望者に期待することを3つのポイントに分けて解説します。
専門性やマネジメント力の高さ
50代の転職希望者の強みとして、専門性やマネジメント力の高さが挙げられます。経験が浅い若手社員にはない強みであり、企業側にとって人件費の高い50代を採用する主なメリットの一つです。
資格の保持だけではなく、業界の動向やビジネスの仕組みなどの深い知識が即戦力として評価されます。また、未経験の業界・職種への転職においても、プロジェクトの進行管理や部下の育成などの汎用的なマネジメント力は、積極的にアピールすべきポイントになります。
経験や人脈の豊富さ
企業が50代を採用する際に期待しているのは、これまでのキャリアで培ってきた豊富な経験や実績、そして人脈です。他の業界や他社で得られた独自の強みがあれば、自社に新たな価値をもたらす人材として評価されます。
経験年数の長さだけでなく、仕事の成果やプロジェクトの規模などを定量的に示すことが重要です。また、前職で培った人脈が顧客の新規開拓などに活かせる可能性があるため、これまでの仕事の付き合いを振り返って整理しておくことをおすすめします。
入社後に長く活躍し続ける意欲
50代の転職希望者と若年層の転職希望者との異なる点は、「この転職を最後にしたい」という意欲の高さです。仕事内容を覚えた頃に辞めてしまうリスクが少ない点を、魅力としてとらえている採用担当者もいます。
一方、50代の転職者は若年層のように長期の育成が想定されておらず、入社後に即戦力として活躍を求められるのが特徴です。そのため、キャリアへの意欲の高さが会社の利益にどう結びつくか、分かりやすい説明を用意しておくとよいでしょう。
50代の転職を成功に導く5つのポイント
50代の転職者は増加傾向にあるものの競争率が高いため、転職活動を戦略的に進めることが大切です。ここでは、転職を成功に導く5つのポイントを解説します。
スキルやキャリアを棚卸しする
企業選びや面接対策の前提として、自らのスキルやキャリアの棚卸しが重要です。企業は50代の転職者が人件費に見合った戦力となるのかを懸念しているため、面接などでスキルやキャリアをアピールし、懸念を払拭するのが望ましいです。
これまでの経歴や業務内容を一覧にしたうえで、それぞれの仕事で感じた自身の強みや価値観を言語化することがポイントになります。また、棚卸しを進めるなかで、挑戦したい仕事や役職など転職の軸を決めれば、企業選びの際にも役立ちます。
企業のニーズに合った強みを的確にアピールする
採用面接では、企業理念や仕事内容、社風を理解したうえで、採用側のニーズに合った強みをアピールすることが重要です。その際、業界知識や資格はもちろん、汎用性の高いスキルや人柄も評価される要素となりえます。
特に企業が50代の転職希望者に対して懸念を抱きがちな要素の一つが、プライドの高さです。そのため転職活動時には、これまでのキャリアや年齢に関係なく新人として働く意欲を示すために、柔軟性をアピールすることをおすすめします。
例えば、前職で年下の上司と円滑なコミュニケーションをとっていたことが伝わる具体例を挙げれば、企業側に柔軟性や適応力が伝わるでしょう。
正社員や日本企業以外の選択肢も検討する
企業選びの際、正社員や日本企業以外も含めて幅広い視点で転職活動を行うと、短期間でも採用に結びつく可能性が高まります。
50代になると正規雇用で採用される可能性が低くなりがちな一方で、非正規雇用の雇用率は世代による差が少ない傾向にあります。そのため、正社員にこだわりすぎず、非正規雇用など転職先の選択肢を広げることも時には必要でしょう。
また、外資系企業は日本企業と異なり定年の考え方がなく、中途採用に積極的であるため、50代の転職先として有力な選択肢です。成果主義を取り入れている場合が多く、仕事の実力が年収に反映されやすい点も魅力といえます。
転職に活かせる人脈を広げる
普段から人脈を意識して広げておくと、スムーズな転職活動や入社後の活躍につながります。ここでいう人脈とは、個人間で有益な情報を共有できる人々のネットワークのことです。
近年は自社の社員に転職希望者を紹介してもらうリファラル採用を取り入れる企業もあり、人脈が転職活動に直接役立つ可能性があります。また、興味がある業界や企業に人脈があれば、より実態に即した情報収集ができ、ミスマッチを防ぎやすい点もポイントです。
転職エージェントを積極的に活用する
スキルの棚卸しや企業選びをすべて自力でやるのは負担が大きいため、早い段階から転職エージェントを活用することをおすすめします。求人数が限られており、スキルや経験を厳しくチェックされる50代の転職活動では、プロの転職エージェントの知見が大きな力となります。
エンワールド・ジャパンは、外資系企業から日系グローバル企業まで幅広く紹介できるのが強みです。豊富な支援実績をもとに、50代に求められる資質を面接で的確にアピールできるようサポートします。無料面談を実施しているため、ぜひお気軽にご相談ください。
50代の転職に関するよくある質問
ここでは、50代の転職に関するよくある質問に回答していきます。
50代が未経験で転職する場合におすすめの業種と職種は?
IT業やサービス業、建設業など人手不足の業種では、50代を含む未経験の人材を広く募集している場合があります。また、営業職や事務職は汎用的なスキルを活かしやすい職種です。もし業界の知見が深い場合には、コンサルタントも候補として挙げられます。
しかし、実際にどういった業種や職種が向いているかは、経験やスキルによってさまざまです。そのため、視野を広げて転職先を検討する姿勢が大切であり、求人サイトや転職エージェントを積極的に活用することをおすすめします。
50代が転職する理由には何がある?
50代が転職する理由として、会社の労働条件・人間関係への不満と、ライフスタイル・キャリアプランを変える希望の2つが挙げられます。
背景の一つとして、家族の介護などライフステージの変化に対応した柔軟な労働条件を提供できる企業が少ないことです。50代になると、これまで我慢してきた人間関係に見切りをつける方もいます。
また、ワークライフバランスを重視し、単身赴任などが不要な転職先を探す場合もあります。前職で築いてきた役職などを切り捨て、本来やりたかった仕事ができる会社に転職を考える場合もあるようです。
50代の転職活動期間の目安はどれくらい?
50代の転職活動期間は、半年程度が最も多く、次いで3ヵ月程度、そして1~2ヵ月程度となっています。この傾向から半年程度を目安とするとよいでしょう。年齢に関わらず、一般的に転職活動は3ヵ月から半年程度かかる傾向にあります。
50代の転職活動は長期化する可能性があることも、転職活動を始める前に念頭におく必要があります。長期化することに配慮したスケジュールを立てるとよいでしょう。
まとめ
50代の転職者は増加傾向にあり、希望のキャリアを実現するチャンスが広がっています。求人数の少なさなど厳しい実態があるのは事実ですが、スキルやキャリアの棚卸しをしたうえで、幅広い視点で転職先を探すなど、転職活動を戦略的に進めれば成功の可能性が高まります。
エンワールド・ジャパンは50代の転職にも強く、経営幹部や管理職などのハイクラス求人を豊富に取り扱っており、応募者一人ひとりのニーズに合わせてご提案していますので、まずは新規会員登録からご登録ください。