外資系企業の中でも特に年収が高いとされ、人気がある転職先のひとつが外資証券や投資銀行です。ところが、いくつか有名企業の名前を聞いた覚えはあっても、それらの特色までは詳しく知らない人もいるのではないでしょうか。
この記事では、外資証券・投資銀行の仕事内容、メリット・デメリットや主な8社の特色について紹介します。転職する際のポイントやおすすめの転職方法も紹介しているので、外資証券・投資銀行への転職を考える際の参考にしてください。
外資証券・投資銀行の仕事内容
経済産業省の実施している外資系企業動向調査では、海外の資本が全体の3分の1を超える会社を外資系企業だとしています。このような海外資本の入った外資系の証券会社や投資銀行では、主に以下の仕事を行っています。
・顧客への資金調達やM&Aの提案
・株式や為替などの販売
・投資先を判断するための情報収集と分析
・顧客の資産の運用
外資証券・投資銀行で働くメリット・デメリット
ここでは、外資証券・投資銀行で働くメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
メリット
☑実力が評価される
外資系企業は人事評価基準に成果主義を採用しているため、年功序列性を採用している日本企業と異なり、性別や年齢、勤務年数ではなく、実力で評価されます。そのため、若くても実力があれば大きな仕事を任されるなど、やりがいが大きいといえるでしょう。
☑給与水準が高い
前述のとおり、成果主義を採用しているため、ベース給とは別にインセンティブ給が設定されており、実力に応じた報酬を得ることができます。そのため、日本企業に比べて給与水準が高くなる傾向にあります。
☑仕事とプライベートがきっちりと分かれる
もちろん自身の仕事が終わらなければ、個人の時間を仕事に充てることもありますが、日系企業と比べると、比較的残業・勤務時間外の付き合いがほぼなく、休暇も取得しやすいなど、仕事とプライベートがきっちりと分かれている傾向にあります。
デメリット
☑競争が激しい
実力主義のため、社員同士の競争が激しい傾向にあり、常に結果を求められるでしょう。
☑成果が出ないと給与が下がる可能性がある
前述のとおり、インセンティブ給を採用しているため、成果が出ないと給与が下がる可能性があります。
☑福利厚生が充実していない
日本企業は住宅手当や退職金など、福利厚生が充実しているところが多いですが、これは終身雇用を前提とした制度だといってよいでしょう。外資系企業には、このような考え方がないため、日本企業に比べて福利厚生が充実していない企業が多いようです。
主な外資証券・投資銀行と給与体系と
外資証券・投資銀行の給与には、ベース給とインセンティブ給の2種類があります。ベース給は基本給のことで、昇進と共に増えます。インセンティブ給は成果給のことで、成果を出せれば増えます。これは日本企業のボーナスに相当すると考えて良いでしょう。
☑ゴールドマン・サックス
ニューヨークに本社を置く金融会社で、投資・証券業務のほかにM&Aの仲介や不動産・保険商品などを幅広く扱っています。ロンドンや香港など世界主要都市に現地法人を置き、日本法人本社は六本木にあります。
☑シティグループ
世界最大規模を誇る金融機関、シティバンクの証券部門です。本社・ニューヨークをはじめ、ドイツ・インド・イギリス・シンガポール・日本など、世界100カ国以上で事業を行っている会社です。
☑UBSグループ
UBSグループは世界有数規模の金融会社で、スイスに本拠地を置いています。グループの中核ビジネスは裕福層に向けたプライベートバンキングで、日本ではUBS銀行東京支店が業務を担っています。
そのほか、UBS証券会社、UBSグローバル・アセット・マネジメント株式会社などを展開しています。
☑クレディ・スイス証券
証券・投資銀行業務、裕福層向けの資産管理・運用業務などを行うスイス系の金融会社です。一般個人向けの銀行業務は、スイスのみで行っています。アメリカにおける事業規模も大きく、金融持ち株会社であるクレディ・スイス・グループ AGはニューヨークにて上場しています。日本へは1972年に進出しました。
☑バークレイズ
イギリスで最も古い金融機関で、イギリス4大銀行の中で1位の総資産を持っています。ビジネスの中核は投資銀行・証券・クレジットカード事業で、アジア・アメリカ・中東・アフリカなど、世界各地に営業拠点を持っています。
☑メリルリンチ日本証券
アメリカ・ノースカロライナ州に本社を置くバンク・オブ・アメリカ・コーポレーションは、法人向けの金融や投資銀行などの業務を「バンクオブアメリカ・メリルリンチ」というブランド名で展開しています。日本における拠点がメリルリンチ日本法人で、企業・金融機関・政府機関と幅広い顧客を持っています。
☑ドイツ銀行
1870年設立のドイツ系金融機関で、ヨーロッパを中心に地盤を固め、現在では70か国、3,000以上の拠点を有するまでに成長しています。日本には銀行、証券、アセット・マネジメント、信託の4法人があります。事業以外のボランティア活動、NPO支援、芸術支援などにも熱心に取り組んでいます。
☑モルガン・スタンレー
ゴールドマン・サックスやメリルリンチと並ぶ、世界的金融機関グループです。日本では三菱UFJフィナンシャル・グループと統合し、IBM部門は三菱UFJモルガン・スタンレー証券となりました。また、モルガン・スタンレー証券のIBM部門以外を継承する会社として、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社を設立しました。
外資証券・投資銀行の転職でよくある疑問
ここでは、外資証券・投資銀行へ転職する際によくある疑問とその答えについて解説します。
未経験でも大丈夫?
給与水準が高く、専門性の必要な外資証券・投資銀行への転職でも、業務経験は必須ではありません。ただし、たとえば1名の募集に対して10人の応募があった場合などは、同業界での業務経験が優遇されることになるでしょう。
しかしながら、転職の際の面接では経験の有無だけではなく、人柄やコミュニケーション力、業界知識、取得している資格、入社への意欲などが検討材料となります。
「未経験だから応募できない」と判断するのではなく、「未経験だがMBAを取得している」など、自分の強みを意識するとよいでしょう。
語学力はどの程度必要?
外資系企業の中には、英語を使わない部門もあります。また、入社時は語学力不問なものの、入社後にビジネスレベルの英語力を身に着けてほしいと言われるなど、必要に応じて語学力を求められる場合もあります。
そのため、転職時にどの程度の語学力があれば大丈夫かという判断は難しいですが、目安としてはTOEIC860点以上など、ビジネスレベルの英語力があることが望ましいと考えられます。
学歴は大事?
新卒の場合は、国内トップレベルの大学卒業社が多い傾向にあるようです。しかし、海外でMBAを取得している場合や、転職の場合は学歴よりも金融業界での業務経験が優遇される場合があります。
たとえば、投資銀行部門ではファイナンススキルやドキュメント作成能力が評価されます。また、プライベートバンキング部門ではコミュニケーション能力の高さや、成果をあげ続けるセールス力が評価される傾向にあります。
まとめ
この記事では、外資証券・投資銀行の主な8社の概要、転職のポイントについて解説しました。外資証券・投資銀行は、未経験でもチャレンジできる業界ではありますが、年収が高く働きがいがあることから応募者が多く、転職に成功するためには戦略も必要です。また、主要ポジションの求人など、一般には非公開で採用が行われているケースもあります。
そのため、外資証券・投資銀行への転職には転職エージェントの利用がおすすめです。主要なグローバル企業と関係をもち、世界2か国に事務所を展開するエンワールドは、多様なニーズに合わせた求人紹介が可能です。外資証券・投資銀行へ転職をお考えの方は、ぜひご利用ください。
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