「働きがい」と「働きやすさ」が評価されるプラチナ企業化が外資系企業で加速
ミドルキャリア層の年収差拡大、年収1000万円以上の割合は外資系企業が2.6倍
日本最大級のグローバル人材に特化した人材紹介会社エンワールド・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:金太浩)は、外資系企業や日系グローバル企業を中心に人材採用支援を行っています。
この度、日系企業から外資系企業に転職する「外資越境転職」を支援する一環として、外資系企業・日系企業の従業員を対象に「外資系・日系企業のお仕事事情」についてアンケートを実施しました。
調査結果概要
1. 外資系企業、働きがいと働きやすさで日系企業を上回る ~プラチナ企業の特性が顕著~
2. ミドルキャリアで年収の差が拡大、年収1000万円超の割合が外資系企業で2.6倍以上
3. 労働・残業時間は同等、外資系企業が優れる休暇制度でワークライフバランスの差別化
解説
国際経営コンサルタント、弁護士、名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授 植田統 氏
この調査結果は、日系企業と外資系企業の違いをよく表している。一言で言えば、外資系企業は、給与は高く、昇給も大きく、やりがいがあり、休暇も取りやすいという結果である。それらの点で、外資系企業が日系企業より優位に立っている要因を私なりに考えてみると、外資系企業ではジョブ型で仕事をしているので、一人ひとりの権限と責任が明確で、自分のスペシャリストとしての成長を実感しやすく、それに見合う処遇がされているのだと思う。
これから、自分のキャリアを作っていこうという人、何かの分野のスペシャリストとして生きていきたいと思う人にとっては、自分のスペシャリストとしての成長を実感できること、他の会社からも求められるようなスキルを身に着けた人となることが最も重要である。
一方、多くの日系企業はメンバーシップ型雇用で、いわゆるジョブローテーションなどの配置転換によって、ジェネラリストとしてのキャリアが形成される。また、終身雇用を前提とした給与体系で、長期的に緩やかに昇給していく傾向がある。何かのスペシャリストではなくジェネラリストとしてキャリアを築きたい人、給与の短期的な伸び幅よりも安定性を重視する人は日系企業が向いているだろう。
もし今勤めている日系企業で成長が感じられず、自分の将来に不安を感じているのなら、そして、アウトプットが厳しく求められる外資系企業に挑戦しようという決意ができたなら、思い切って外資系への転職を考えてみるのもよいだろう。
▼植田統 氏プロフィール
1981年に東京大学法学部卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。ダートマス大学エイモスタックスクールにてMBA取得。その後世界4大経営コンサルティング会社のブーズ・アレン・ハミルトン(現・PWCストラテジー)を経て、世界有数のデータベース会社レクシスネクシス・ジャパン代表取締役社長。そのかたわら大学ロースクールに通い司法試験合格。2008年からは、世界NO.1の企業再生コンサルティング会社のアリックスパートナーズでライブドア、JALの再生を担当。2014年に独立し、青山東京法律事務所を開設。現在は、社会人大学院である名古屋商科大学経営大学院(MBA)教授として企業再生論、経営戦略論を学生に講義し、数社の社外取締役、監査役を務めている。著書に『日米ビジネス30年史』(光文社)『2040年「仕事とキャリア」年表』(三笠書房)などがある。
調査結果 詳細
1. 外資系企業、働きがいと働きやすさで日系企業を上回る~プラチナ企業の特性が顕著~
「現在の仕事の働きがい」について質問したところ、働きがいを「感じている」「どちらかといえば感じている」と回答した従業員の割合は、外資系企業では60%、日系企業では50%となりました。【図1】
また、「現在の勤め先の働きやすさ」について質問したところ、働きやすさを「感じている」「どちらかといえば感じている」と回答した従業員の割合は、外資系企業では70%、日系企業では61%となりました。【図2】
「働きがい」「働きやすさ」共に外資系企業の方が高く、特に40代において差が顕著に現れており、「働きがい」では17ポイントの差(外資系企業従業員65%、日系企業従業員48%)【図1】、「働きやすさ」でも17ポイントの差(外資系企業従業員75%、日系企業従業員58%)となっています。【図2】
この結果から、外資系企業は日系企業に比べて、従業員が「働きがい」や「働きやすさ」を感じやすい傾向にあることが明らかになり、『プラチナ企業』(=「働きがい」と「働きやすさ」の両方を評価されている企業のこと)としての特性を持つのは、外資系企業の方が多いことを示唆しています。
また、働きがいがあると感じている人を対象に、働きがいを感じるタイミングについて質問すると、「給与が上がったとき」(外資系企業従業員43%、日系企業従業員36%)「目標を達成したとき」(外資系企業従業員44%、日系企業従業員30%)が外資系・日系企業ともに上位の結果となりました。【図3】
さらに、働きやすさを感じている人を対象に、働きやすさの理由について質問をすると、「自分のやり方で仕事を進められる」(外資系企業従業員53%、日系企業従業員43%)「労働時間が適正・融通が利く」(外資系企業従業員47%、日系企業従業員38%)が、外資系・日系企業ともに上位の回答となり、特に外資系企業において高い割合を示しました。【図4】
この結果から、達成感や報酬(給与)の増加が「働きがい」に寄与する傾向にあり、個人の裁量や労働時間の柔軟性が「働きやすさ」の要因になっていると示唆されます。これらの要素は、いわゆる『プラチナ企業』の特徴ともいえ、外資系企業は特にその傾向があると考えられます。
2. ミドルキャリアで年収の差が拡大、年収1000万円超の割合が外資系企業で2.6倍以上
「2023年度の年収について」質問したところ、外資系企業と日系企業の従業員において、20代・30代では差がないものの、40代・50代においては年収の差が大きくなっています。
特に年収1000万円以上の割合が、40代で15ポイント差(外資系企業従業員30%、日系企業従業員15%)、50代では29ポイント差(外資系企業従業員40%、日系企業従業員11%)となっており、高所得者の割合の差が外資系・日系企業の従業員で拡大していることが明らかになりました。【図5】
また、「年収の上がり幅(過去3年前と比較)」について質問したところ、外資系企業の従業員においては、年収の上昇幅が特に大きいことが明らかになりました。
外資系企業従業員30代で最も多い回答が「50万円~100万円未満」(25%)の一方で、日系企業従業員30代では「10万円~50万円未満」(33%)が最も多い回答になっています。
また、40代においても、外資系企業従業員では16%が「100万円~200万円未満」の年収増加を経験しており、日系企業の同世代従業員と比べて大幅な年収アップが見られます。【図6】
この結果より日系企業従業員に比べて外資系企業従業員の方が、昇給幅が大きい傾向にみられます。特に、ミドルキャリア層(40代・50代)においては、年収1000万円以上の従業員の割合が外資系企業では日系企業に比べ2.6倍以上となっており、年収の伸びが顕著に現れています。
3. 労働・残業時間は同等、外資系企業が優れる休暇制度でワークライフバランスの差別化
「仕事をしている日の1日の労働時間」について質問したところ、外資系・日系企業の従業員の間で労働時間に大きな差は見られませんでした。
全体的に1日あたりの労働時間が「7時間以上9時間未満」に集中していることが確認され、外資系・日系企業の従業員ともに同様の傾向が伺えます。【図7】
続いて、「1ヶ月の残業時間」について質問したところ、同様に外資系・日系企業の従業員の間に大きな差異はなく、「残業時間がない」と回答した従業員の割合は外資系企業で14%、日系企業で17%と全体的に類似した傾向が見られます。【図8】
一方で、「長期休暇や連続休暇の制度が実際に取得することができるか」を伺うと、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と回答した従業員は、どの年代でも6割以上であることが明らかになりました。
特に30代から40代にかけて、休暇制度の取得状況の差が顕著であり、30代では外資系企業従業員の50%が「当てはまる」と回答し、日系企業従業員の33%を大きく上回りました。また、40代でも外資系企業従業員は41%で、日系企業従業員の22%と比較して大きく上回る結果となりました。【図9】
この結果から、外資系・日系企業従業員の労働時間や残業時間には大きな差が見られないものの、外資系企業従業員の方が長期休暇や連続休暇を取得しやすい環境にあるとみられます。柔軟な休暇制度を活用することで効率的な働き方とワークライフバランスを両立させていることが示唆されます。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査実施期間:2024年9月4日~ 9月6日
有効回答数:746名
回答者所属企業:外資系企業346名、日系企業400名
回答形式:単一回答および複数回答形式
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20241106「外資越境転職」 外資系・日系企業のお仕事事情調査
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