推進は、外資系企業は経営層、日系企業は専門部門が主管 「リソース」「専門部署」や「評価・目標設定方法」が今後の課題
日本最大級のグローバル人材に特化した人材紹介会社エンワールド・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:金太浩)は、外資系企業、日系グローバル企業を対象に「企業のESG/SDGs推進度」についてアンケートを実施しました。
調査結果概要
- 企業の半数以上がSDGsに参画、1位は「ジェンダー平等を実現しよう」
- 推進は、外資系企業は経営層、日系企業は専門部門が主管
- ESG/SDGsの推進部門、1位は「経営層」
- 4割の企業がESG/SDGsの専門職を配置済、2割が専門部署・役職を増やす意向
- 推進する上での課題は「リソース」「専門部署」や「評価・目標設定方法」
エンワールド・ジャパン エグゼクティブサーチ チームマネージャー
ロバートイングランド(Robert England)
当社アンケートによると、半数以上の企業が「SDGsに関する取り組みがある」と答えています。こうした企業はさらに増えていくと思いますし、そうなることを期待しています。エンワールド・ジャパンのエグゼクティブサーチチームは、2019年からサステナビリティに関連した求人数、特にシニア層の求人が着実に増加していることを実感しています。
レポートにもあるように、4割の企業がすでにESG/SDGsの専門人材を配置しており、2割の企業は専門部署や役職を増やす意向です。CSO(Chief Sustainability Officer)の台頭はまだ欧米には及ばないものの、サステナビリティ専門部門の責任者や部門長職の求人は、かつてより頻繁に目にするようになりました。
経営陣がこうした変革を推進することは、想定外のことではありません。米国証券取引委員会が、ESGの情報開示の義務付けを発表したことにより、日本におけるESGへの関心と説明責任が高まり、その結果、新たな専門職の設置、再教育、社内異動などの機会が生まれました。また、これら職種の給与が高まるなど、変化が表れています。
一方、リソースについては、優秀な候補者が次々と現れていますが、ESG/サステナビリティに精通した人材は依然として不足しており、非常に競争の激しい市場となっています。国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27・11月開催)も多くの注目を集めました。その余波で、2023年もESG/SDGsに関連した求人は、非常に興味深い傾向が予測されます。
解説
1. 企業の半数以上がSDGsに参画、1位は「ジェンダー平等を実現しよう」
「SDGsに関する取り組み」について質問したところ、現在取り組みが「ある」と回答したのは全体で57%でした。【図1】
さらに、「SDGsに関する取り組み」が「ある」と回答した企業に、国連が掲げるSDGsの17項目のうちどの項目に取り組んでいるかという質問では、「5. ジェンダー平等を実現しよう」が全体で64%と、企業にとって最も関心の高い項目であることが明らかになりました。
全体として外資系企業と日系企業の傾向に大きな差がなかったものの、 「5. ジェンダー平等を実現しよう」(外資系企業:76%、日系企業:55%)と「10. 人や国の不平等をなくそう」 (外資系企業:48%、日系企業:23%)の2項目では20ポイント以上の差が開く結果となりました。
【図2】(次頁)
【図1】現在、貴社ではSDGsに関する取り組みがありますか。
【図2】 「SDGsに関する取り組み」が「ある」と回答した企業に伺います。
国連が掲げるSDGsの17項目(下図)のうち、どの項目に取り組んでいますか。(複数回答可)
2. ESG/SDGsの推進理由「営業活動の一環」が「CSR活動の一環」を上回る
引き続き「SDGsに関する取り組み」が「ある」と回答した企業に、「ESGやSDGsに関連する計画」に関して質問したところ、全体で68%の企業が中期・長期の両方、またはいずれかの計画があると回答しました。そのうち、「中・長期計画どちらもある」(外資系企業:33%、日系企業:17%)では外資系企業と日系企業で差が開き、「中期計画がある」「長期計画がある」を合わせると外資系企業が11ポイント高い結果となりました。【図3】
次に「ESGやSDGsの推進理由」に関する質問では、「環境・社会・地域への責務、貢献」(全体:78%)が1位となりました。一方、2位には「事業に直接関わる営業活動の一環」(全体:59%)が続き、4位の「事業に直接関わらないCSR活動の一環」(全体:49%)を上回る結果に。このことからも、ESGやSDGsの推進が単なるCSR活動にとどまらず、事業自体に関わる営業活動としての意味合いが強いことが明らかとなりました。【図4】
【図3】貴社にはESGやSDGsに関連する中・長期計画はありますか。
【図4】貴社にとってESGやSDGsの推進理由は何ですか。(複数回答可)
*小数点第一位を四捨五入しているため、合計は100%にならない場合があります。
3. ESG/SDGsの推進部門、1位は「経営層」
「ESGやSDGsを推進する主管部門」に関しての質問では、全体で47%の「経営層」が1位、次いで「SDGs/ESGの専門部門」(全体:37%)、「人事・総務」(全体:26%)が続きました。
多数の項目で外資系企業と日系企業に差が開きましたが、特に「経営企画」(外資系企業:8%、日系企業:30%)では22ポイントの差があり、外資系企業で見ると9位、日系企業では3位と対照的な結果になりました。【図5】
【図5】ESGやSDGsを推進する主管部門はどこですか。(複数回答可)
4. 4割の企業がESG/SDGsの専門職を配置済、2割が専門部署・役職を増やす意向
次に「ESG/SDGsを専門にする役職」の有無について質問したところ、「ある」と答えたのは外資系企業、日系企業共に39%でした。【図6】
「ESG/SDGsに関する専門部門・役職を今後新設、または増やす予定があるか」という質問では、全体で21%の企業が「ある」(外資系企業:27%、日系企業:17%)と答え、外資系企業が10ポイント上回る結果となりました。【図7】
【図6】貴社にはESGやSDGsを専門にする役職が社内にありますか。
【図7】ESGやSDGsに関する専門部門・役職を今後新設する、または増やす予定はありますか。
5. 推進する上での課題は「リソース」「専門部署」や「評価・目標設定方法」
最後に「ESG/SDGs推進に関する課題」について尋ねたところ、「SDGsに関するリソース(知識・人員・予算等)がない」(全体:40%)、「ESG/SDGsの専門部署・役職がない」(全体:39%)、「取り組みに対する評価・目標設定が分からない」(全体:38%)が上位3項目となり、リソースや評価方法に関する課題が中心であることが分かりました。
【図8】ESGやSDGs推進に関して、貴社にはどのような課題がありますか。
■「ESG/SDGs推進に関する課題」の「その他」の回答(一部抜粋)
- 取り組む課題や目標が大きく、かつステークホルダーが社外の物、人や政府となり、社内で完結しない。(外資系企業/IT・通信・ソフトウェア)
- 推進活動が有志のボランティアに委ねられている。(外資系企業/サービス)
- 内容が小さなアクションに限られ、実際に意味ある計画や目標になっていない。(外資系企業/製造業)
- 会社が推進する意義について、従業員に説明がない。(日系企業/IT・通信・ソフトウェア)
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査実施期間:2022年9月7日~9月13日
有効回答数:208社
回答者所属企業:外資系企業42%、日系企業58%
回答形式:単一回答および複数回答形式
エンワールド・ジャパンについて
アジア地域3ヵ国に拠点のある、グローバル人材に特化した人材紹介会社です。外資系企業・日系グローバル企業の、ミドルからハイクラスのポジションの採用/転職支援を専門としています。正社員、エグゼクティブ人材紹介、プロフェッショナル人材派遣、採用代行サービス(RPO)を通し、あらゆる方面から採用や転職に関する支援を行っています。
エンワールド・ジャパン広報
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