日本最大級のグローバル人材に特化した人材紹介・人材派遣会社のエンワールド・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:ヴィジェイ・ディオール)は、「新型コロナウイルスの感染対策」についてアンケートを行い、企業の人事・採用担当者554名から回答を得ました。
調査結果 概要
- 外資系企業の7割が、日本での新型コロナウイルスの感染対策について本社から連絡や伝達「あり」。
- 新型コロナウイルスの流行前から「感染症を想定したBCP(事業継続計画)の策定をしていた」は約2割。
約4割の企業が、流行を受けて「感染症対策を追加した」「感染症対策の追加を検討している」と回答。 - 中途社員の採用活動で、3割弱が新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」。
- 中途社員の採用活動で実施している感染対策、第1位は「採用面接・面談をオンライン化」(約6割)。
「採用活動の一時停止」は、外資系企業(22%)と日系企業(5%)で約4倍の差。 - 中途社員の採用活動で感染対策を開始したのは「2月17日週」が最多。
採用活動で感染対策を始める企業が右肩上がりに増加中。 - 中途社員の採用活動において、新型コロナウイルスの影響で『今後もっとも懸念していること』は、「採用活動のスローダウン」、「転職活動の鈍化・意欲の低下」「社員から候補者、候補者から社員へ の感染」、「感染した場合の企業の風評リスク」が多い。
- 社員に対して、約8割が新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」。
- 社員に対して実施している感染対策の第1位は「マスクの配布、アルコール消毒の設置などの衛生管理」(約8割)、
第2位は「海外への渡航制限・禁止」(約7割)。 - 社員への感染対策を開始したのは「2月17日週」が最多。
<結果解説>
エンワールド・ジャパン株式会社 人材紹介事業部 部長 (ヴァイスプレジデント)
狐崎 壮史
外資系企業において、特にSaaS系企業などクラウドを売りにしている企業はすでに社内のクラウド環境が整っていたため、早い段階からテレワークを 推奨し、社員の自宅勤務を行なっていました。また、海外への出張を控える事、すでにアジアへの出張をしている場合は戻る時期をずらす、日本へ帰国した際に隔離をしてウイルス感染の検証を行う、などの対策を行っていました。
外資系企業と比べて、やや後れを取っていた日系企業も対応を進めるようになってきているため、今後(3月降)の方が、より大きな影響が出てくるのではないかと思われます。日本国内での感染が広がった場合、さらに、採用を一時的に止める、採用そのものを先延ばしにする、という企業が増えてくると予測されます。
調査結果 詳細
1. 外資系企業の7割が、日本での新型コロナウイルスの感染対策について本社から 連絡や伝達「あり」 。(図1)
外資系企業に所属していると回答した方に、「本社から、日本での新型コロナウィルス感染対策について連絡や伝達はありましたか。」と伺ったところ、全体の7割が「あり」と回答しました。
本社の所在地がアメリカの企業では、全体と比較して「あり」と回答した割合がやや高くなりました。 (アメリカ:73%、全体:70%)
【図1】会社の資本形態が「外資系企業」とご回答いただいた方に伺います。
本社から、日本での新型コロナウイルス感染対策について、連絡や伝達はありましたか。
「連絡や伝達」の内容
- 在宅勤務、リモートワークの指示、推奨
- 出張を含む海外への渡航制限、禁止
- 会社としてのガイドラインやポリシーの共有
- BCP対策や、BCPに基づいた対応について
- APACでの対策チームを作り、各国に状況を定期的に共有
- 世界の感染者情報や対応方法について毎日情報をアップデート
- グローバルに出勤停止条件を統一 など
2.新型コロナウイルスの流行前から「感染症を想定したBCP(事業継続計画)の策定をしていた」は 約2割。約4割の企業が、流行を受けて「感染症対策を追加した」、「感染症対策の追加を検討している」と回答。(図2)
全回答者(外資系企業、日系企業)を対象に、会社で感染症を想定したBCP(事業継続計画)を策定しているか伺ったところ、「新型コロナウイルスの流行以前から、感染症を想定したBCPが策定されていた。」は約2割に留まりました。
しかしながら、「新型コロナウイルスの流行を受けて、BCPに感染症対策を追加した。または、追加策定中」(22%)、「新型コロナウィルスの流行を受けて、BCPに感染症対策の追加を検討している」(17%)と回答した企業は合計4割となっており、新型コロナウイルス流行の影響の大きさがうかがえます。
【図2】あなたの会社では、感染症を想定したBCP(事業継続計画)を策定していますか。
3.中途社員の採用活動で、3割弱が新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」。(図3)
「あなたの会社では、中途社員の採用活動において新型コロナウイルスの感染対策を実施していますか。 」と伺ったところ、「実施している」と回答したのは外資系企業、日系企業ともに3割弱でした。
【図3】あなたの会社では、中途社員の採用活動において新型コロナウイルスの感染対策を実施していますか。
4.中途社員の採用活動で実施している感染対策、第1位は「採用面接・面談をオンライン化」(約6割)。「採用活動の一時停止」は、外資系企業(22%)と日系企業 (5%)で約4倍の差。(図4)
中途社員の採用活動において、新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答した方に、 具体的に、どの様な対策を実施してるか伺いました。
第1位は、外資系企業、日系企業ともに「採用面接・面談をオンライン化」(外資系企業:56%、日系企業:70%)、第2位は「採用面接・面談にマスク着用を義務付け」(同:22%、38%)と同じでしたが、どちらも日系企業の回答が約15ポイント上回りました。
一方、「採用活動の一時停止」(同:22%、5%)では、外資系企業の回答割合が日系企業の約4倍になりました。中途社員の採用活動における感染対策は、外資系企業と日系企業で傾向の差がみられる結果となりました。
【図4】中途社員の採用活動で感染対策を「実施している」と回答した方に伺います。
具体的に、どの様な対策を実施していますか。(複数回答可)
「その他」回答(一部抜粋、外資系企業)
- 候補者に過去2週間、中国への渡航履歴がないかどうかをチェックしている
- 候補者の健康状態確認
- 来社時の簡易健康状況申告書の記入提出
- 来社での面接の場合は事前に訪問者カード(中国・台湾・香港への滞在歴、体温、健康状態)の記入提出を義務付け
5.中途社員の採用活動で「採用面接・面談をオンライン化」しているうち、 約3割は「最終面接(役員面接)もオンライン化」。 (図5)
中途社員の採用活動における新型コロナウイルスの感染対策で「採用面接・面談をオンライン化」していると回答した方に、「最終面接(役員面接)」もオンラインで実施しているか伺いました。
約3割の方が、「最終面接(役員面接)もオンラインで実施している」と回答。日系企業の回答が外資系企業より6ポイント高くなりました。(外資系企業:30%、日系企業:36%)
一方、「最終面接(役員面接)のオンライン化」の「実施を検討している」(同:52%、29%)と回答した方は、外資系企業で過半数を超える結果となりました。
【図5】中途社員の採用活動における新型コロナウイルスの感染対策で「採用面接・面談のオンライン化」を
実施していると回答した方に伺います。
「最終面接(役員面接)」もオンラインで実施していますか。
6.中途社員の採用活動で感染対策を開始したのは「2月17日週」が最多。採用活動で感染対策を始める企業が右肩上がりに増加中。 (図6)
中途社員の採用活動において新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答した方に、いつ、対策を開始したか伺いました。もっとも多かったのはアンケート実施日から直近の「2月17日週」でした。中途社員の採用活動で感染対策を開始する企業が、日を追って右肩上がりに増加していることが見て取れます。
【図6】中途社員の採用活動において、新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答 した方に伺います。
いつ、対策を開始しましたか。
7.中途社員の採用活動で感染対策の実施を「検討中」の方が、具体的に検討している 対策、第1位は「採用面接・面談をオンライン化」(約6.5割)。 (図7)
中途社員の採用活動において感染対策の実施を「検討中」と回答した方に、具体的に検討している対策について伺いました。第1位は外資系企業、日系企業ともに「採用面接・面談をオンライン化」(外資系企業:66%、日系企業:62%)で約6.5割でした。
外資系企業と日系企業の回答でもっともポイント差が大きかったのは、「会社説明会・採用イベントの延期」(同:12%、25%)で、日系企業の回答が外資系企業を13ポイント上回りました。
【図7】中途社員の採用活動において感染対策を「検討中」と回答した方に伺います。
具体的に、どの様な対策を検討していますか。(複数回答可)
8.中途社員の採用活動において、新型コロナウイルスの影響で『今後もっとも懸念 していること』は、「採用活動のスローダウン」「転職活動の鈍化・意欲の低下」 「社員から候補者、候補者から社員への感染リスク」「感染が発生した場合の企業の風評リスク」が多い。
中途社員の採用活動において、新型コロナウイルスの影響で「今後もっとも懸念していること」をフリー回答で伺いました。目立った回答は、以下の通りでした。
▶ 採用活動のスローダウン、採用スケジュールの遅延
▶ 転職活動の鈍化・意欲の低下、優秀な候補者の転職活動の延期、勤務開始日の延期
▶ 社員から候補者、候補者から社員への感染リスク、感染が発生した場合の企業の風評リスク
その他(一部抜粋)
- アジア地域からの候補者の受け入れに支障が出る(外資系企業)
- グローバルからの採用フリーズの指示(外資系企業)
- 経済活動の停滞に伴う、ポジション空白期間の長期化と必要性の再検討(外資系企業)
- 中国資本という点に対する風評被害。(罹患リスクを懸念した選考辞退等)(外資系企業)
- オンライン面接だけではわからない部分が判明しないまま入社してしまう事。
特にスキル面は厳密に詰める事が出来るが、社風や文化等は直接会わないと感じにくい傾向にある為。(日系企業) - 企業業績の悪化により採用自体が不要となること。 (日系企業)
9.社員に対して、約8割が新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」。(図9)
「 あなたの会社では、社員に対して新型コロナウイルスの感染対策を実施していますか。」と伺ったところ、外資系企業、日系企業ともに、約8割が新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答しました。
社員に対して感染対策を実施ている割合(約8割)は、中途社員の採用活動において感染対策を実施している割合(3割弱)を大きく上回る結果となりました。
【図9】あなたの会社では、社員に対して新型コロナウイルスの感染対策を実施していますか。
10.社員に対して実施している感染対策の第1位は「マスクの配布、アルコール消毒の設置などの衛生管理」(約8割)、第2位は「海外への渡航制限・禁止」(約7割) 。 (図10)
社員に対して、新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答した方に、実施中の具体的な対策について伺いました。
外資系企業、日系企業ともに、第1位は「マスクの配布、アルコール消毒の設置などの衛生管理」(外資系企業:83%、日系企業:78%)、第2位は「海外への渡航制限・禁止」(同:77%、63%)となりました。
「リモートワーク・在宅勤務」 (同:70%、55%) 、「時差出勤・オフピーク通勤」(同:69%、54%)では、外資系企業の回答が日系企業を15ポイント上回り、外資系企業における“勤務形態の柔軟性”の取り組みの高さがうかがえます。
一方、「社員の外部イベント参加の禁止」(同:17%、27%) 、「自社イベントの開催自粛」(同:43%、50%) では、日系企業の回答が外資系企業を7~10ポイント上回り、日系企業では多数の人が集まるイベントにおいて、感染予防の意識が高いことがうかがえます。
【図10】 社員に対して感染対策を「実施している」と回答した方に伺います。
具体的にどのような対策を実施していますか?(複数回答可)
「その他」回答(一部抜粋)
「10人以上のミーティングは避けてweb会議推奨」「中国に渡航した者に、14日間の出社制限」「家族でも14日以内の中国渡航歴があれば出社禁止」「出社時の検温」「入室前手洗い、ドアノブ清掃の義務化」「政府発信のガイドラインの周知」(外資系企業)
「海外勤務者及びその家族の一次帰国費用補助」「37.5度以上の発熱者の出社禁止」(日系企業)
11.社員への感染対策、実施している対策は「全てうまくいっている」が約6割。 (図11)
社員に対して新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答した方に、実施している対策のうち、うまくいっていない対策についてお伺いしました。
約6割の企業が、うまくいっていない(徹底されていない) 対策は「特にない(全てうまくいっている)」と回答。実施している感染対策は概ね順調に進んでいることがうかがえます。
【図11】社員に対して感染対策を「実施している」と回答した方に伺います。
「実施している対策」のうち、うまくいっていない(徹底されていない)ものはありますか?(複数回答可)
「その他」で多かった回答(外資系企業)
- マスクやアルコール消毒などの商品が品薄
- 職種によって、出張制限やリモートワーク対応ができない(国内の営業、小売りの店舗スタッフ、半導体エンジニアなど)
- 派遣社員への対応が困難(※1当社の対応は本ニュースリリース最下部に記載)
12.社員への感染対策を開始したのは、「2月17日週」が最多。(図12)
社員に対して「新型コロナウイルスの感染対策を実施している」と回答した方に、いつ対策を開始したか伺いました。
もっとも多かったのは、アンケート実施日から直近の「2月17日週」となりました。(全体:82、外資系企業:44、日系企業: 38)
外資系企業でもっとも多かったのは「1月27日週」(外資系企業:52)で、WHOが「緊急事態」を宣言した1月31日より前となり、外資系企業の感染対策開始の早さが見て取れました。
【図12】社員に対して新型コロナウイルスの感染対策を「実施している」と回答した方に伺います。
いつ、社員に対して感染対策を開始しましたか。
13.社員に対する感染対策の実施を「検討中」で、具体的に検討している対策の第1位は外資系、企業で「リモートワーク・在宅勤務」(85%)、日系企業で「マスクの配布、アルコール消毒の設置などの衛生管理」(79%)。 (図13)
社員に対して、新型コロナウイルスの感染対策の実施を「検討中」と回答した方に、具体的に検討している対策について伺いました。
検討中の対策の第1位は、外資系企業で「リモートワーク・在宅勤務」(85%)、日系企業で「マスクの配布、アルコール消毒の設置などの衛生管理」(79%)となり、回答の傾向に差がみられました。
【図13】社員に対して新型コロナウイルスの感染対策を「検討中」と回答した方に伺います。
具体的にどのような対策を検討していますか?(複数回答可)
※1)参考情報: 派遣社員への対応について
エンワールド・ジャパンの派遣事業部 (コントラクト プロフェッショナルズ)にも、派遣先企業様から派遣スタッフのリモートワークなどに関するご相談を15件程度いただいております。(2月21日時点)
当社では、「期間・頻度」「指揮命令・業務指示・成果確認の方法」「事故・事件が起こった際の責任」など、まずは必要情報のご提供をお願いし、その回答に基づき、ご返答および必要に応じた対応のご相談をさせていただいております。
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【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:企業の人事・採用担当者
調査実施期間:2020年2月20日~2月22日
【回答者属性】
所属企業:外資系企業 65%、日系企業 35%
外資系企業の本社所在地:アメリカ 43%、欧州 42%、アジア 10%、その他 4%
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▼ニュースリリース ダウンロード
20200227_中途採用で新型コロナウイルスの対策を実施している企業は約3割。「中途採用を一時停止」している企業、外資系は22%、日系は5%。
~エンワールド・ジャパンについて~
1999年に創業した、アジア太平洋地域5ヵ国に拠点のある、グローバル人材に特化した人材紹介・人材派遣会社です。外資系企業・日系グローバル企業の、ミドル~ハイクラスのポジションの採用支援を専門としています。正社員、プロフェッショナル人材派遣、エグゼクティブ人材紹介、採用代行サービス(RPO)を通し、あらゆる方面から人材採用や転職に関する支援を行っています。
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