金融経済新聞「金融人の転職事情」第9回 コロナ禍の保険業界採用動向

2020年12月14日

第9回「金融人の転職事情」コロナ禍の保険業界採用動向

今年1年にわたり、世界中が新型コロナウイルスの影響を受け続けているという事実はにわかには信じがたいことですが、世界中が喜びを共有することができるワクチン開発のニュースは、本当に喜ばしいことだと思います。今回は新型コロナウイルス禍での、保険業界の採用動向についてお話しさせていただきます。

外資系保険業界も他の金融機関同様、例年に比べ採用数が減少しました。しかし、3月に5割程度まで減少した求人数も、秋以降は昨対で8割程度の水準まで回復しています。

グローバル規模で新型コロナウイルスの影響を受けている企業では、早期退職プログラムなどを実施して組織を縮小し、経営改善や大規模組織変革を行っている一方、今後のビジネスの変革を担うような重要なポジションにおいては引き続き採用を行っている企業が多く見られます。

資本金が潤沢な外資系保険企業ではデジタルトランスフォーメーション、組織改革(働き方改革、システム効率化、アジャイル組織化など)、業務改革(効率化、業務削減、コストカット)などのプロジェクト、資本を抑えつつ変革を行う企業においては既存業務オペレーションを支えているシステム運用改善プロジェクトなどに取り組んでおり、各社、そのプロジェクト遂行のために必要な人材において、一定数採用を行っています。

日系の保険企業では、例年に近い水準で採用を行っている企業が多い傾向です。その中での今年の変化は、経営企画、デジタル・オンライン戦略におけるエキスパートの採用需要の増加であり、昨年よりも企業の採用意欲が高まっています。

保険数理、リスク管理部門などの領域は、通年採用を続けている企業が多いですが、採用する人材の条件が新型コロナウイルス流行以前よりも高くなっています。以前なら採用されたであろう転職希望者が現在では見送りになるなど、企業の目が厳しく、転職者にとっては転職のハードルがやや上がっている側面も見られます。

他の金融企業では他業種からの転職希望者の採用にもオープンになってきていますが、保険業界は以前と変わらず、業界経験者を必要としている企業が大多数を占めています。保険業界の全体的なトレンドとしては、新しいアイディア、知見を用いた事業企画などの需要、デジタル化を通した顧客体験の向上や、顧客起点の新しい保険商品や新規事業開発、システム刷新(クラウド化、データ活用)、組織変革(アジャイル組織)が多く見受けられ、各社来年以降に向けた準備を進め始めている状況です。

転職を希望する方も、しない方も、長い冬期休暇の間に、今後どのようなキャリアを歩みたいのか、一度自分自身を振り返る時間を持たれてみるのも良いのではないかと思います。

◆プロフィール

金融チーム チームマネージャー玄間勇介

金融チーム チームマネージャー
玄間勇介 (げんま・ゆうすけ?)

アメリカの大学を卒業後、イギリス系の人材紹介会社で転職コンサルタントとしてのキャリアを積む。2018年にエンワールド・ジャパンへ。業界歴10年以上。金融xIT業界を専門とし、外資系、およびグローバル企業のミドル~ハイクラスの採用支援、転職支援を得意とする。

2020年12月14日号 「金融経済新聞」掲載 ※無断転載・引用を固く禁じます。

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