金融経済新聞「金融人の転職事情」第5回 オンライン面接のリテラシー

2020年08月17日

第5回「金融人の転職事情」オンライン面接のリテラシー

今回は金融業界が置かれているグローバル人材環境についてお話をしていきたいと思います。

最近の金融業界の求人数は増加傾向にあります。緊急事態宣言の解除とともに、採用凍結を解除する企業なども増え、6月の求人数は昨年同月比でプラスとなりました。

求人数が昨対比でプラスとなったのは5か月ぶりとなります。

職種としては、デジタルトランスフォーメーション、アプリケーションサポート、エンジニアなどのIT関連のポジションや会計関連、アセットマネージャー、商品企画などが、銀行、証券会社、不動産、保険、資産運用業界で求められています。

外資金融企業では前述のような専門性の高いスペシャリストを採用していますが、日系金融企業では慣例的な総合職も含めた上でのスペシャリスト採用が行われています。

これが、外資系金融企業と日系金融企業の採用における大きな違いといえるでしょう。

外資系金融企業の昨今の採用傾向としては、一定の技術、知識、経験がある方であれば非金融業界からの採用に以前にも増して積極的になってきています。

ポジションによっては英語、日本語等の言語能力における採用制限の緩和も前向きに検討している企業が多数見受けられます。

この背景には慢性的な人材不足がありますが、新型コロナウイルスによる社会の変化も大きく影響しています。

オンライン面談が主流になるなど、今までの常識が非常識となる中で、新しい常識が業界の考え方に変化をもたらし、各企業がその新しい常識や環境に順応してきています。

日系金融企業ではまだ対面での面接を重要視している企業が数多くありますが、主流ではなくなってきています。

現在の環境下で優秀な転職希望者を獲得するためには、面接官を増やしたり、面接する転職希望者の数や回数を増やしたりするだけでなく、オンライン面接を導入することが必須項目であることに気づき始めています。

一方、オンライン面接は単に導入すればよいというだけではありません。

これまでの対面での面接とは異なる、オンライン面接を上手く進めるための方法や面接者を見極めるためのポイントが多数存在します。オンラインでのコミュニケーションの取り方や、人物像を判断するための質問事項など、採用企業側の面接リテラシー(能力)を向上していくことも必要で、面接官にも成長や変化が求められています。

実際に、どの様にすればオンライン面説をより効果的に実施できるかというご質問やご相談をいただく件数も増加しています。

また、転職を考えている人からは、今は転職に適切な時期か、と現在の状況下で転職を不安視するご相談を数多くいただいています。

転職は企業が求人を出しているかなどのタイミングも含めたご縁ですので、将来目指す目標や方向性が決まっており、それを実現できる転職先があるならば、躊躇する必要はありません。

転職の時期に関わらず、転職を検討するにあたり、今自分が何に取り組んでいるのか、業務以外で自己研鑽のために取り組んでいることなどを転職希望者に聞いてみると、きちんと答えられないことが意外と多い傾向にあります。

これから転職を考える方には、ぜひ考えてみて、行動に落とし込んで頂きたいと思います。

新型コロナウイルスの影響により業界全体で、企業が何か特化した技術、経験を持っている人材を採用したいと考える傾向が強くなっています。

これからは、面接の準備一つにおいても、競争相手となる他の転職希望者よりも抜きんでるための力を注ぐ必要があるでしょう。

◆プロフィール

金融チーム チームマネージャー玄間勇介

金融チーム チームマネージャー
玄間勇介 (げんま・ゆうすけ?)

アメリカの大学を卒業後、イギリス系の人材紹介会社で転職コンサルタントとしてのキャリアを積む。2018年にエンワールド・ジャパンへ。業界歴10年以上。金融xIT業界を専門とし、外資系、およびグローバル企業のミドル~ハイクラスの採用支援、転職支援を得意とする。

2020年8月17日号「金融経済新聞」掲載 ※無断転載・引用を固く禁じます。

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