第4回「金融人の転職事情」フレキシブルな適応力が必要
新型コロナウイルスの流行を受け、デジタル化やテクノロジーに精通した人材に対する需要は、これまで以上に加速傾向にあります。
対面での業務が難しくなった今、集客はもちろん、様々なサービスをオンラインへと移行させるニーズが急速に浮上しており、社内のクラウド化やデジタル化をサポートできるような人材が求められています。
金融業界でもデジタル人材への採用強化は必須であり、更にニーズが高まると予測されています。
業務における知識と経験が求められる金融業界において、これまで転職先といえば金融業界内がほとんどでしたが、最近では金融の知識を活かしてIT関連の企業に転職されるケースが増えています。
これはデジタルネイティブと呼ばれるような若手の社員に限ったことではなく、新たなトレンドとも言えるのではないでしょうか。
社会全体が新型コロナウイルスによる影響を受ける中、それに伴う変化への適応速度に関しては、外資系金融企業が一歩リードしたように思います。
例えば、オンライン面接への移行スピードの速さ。
日系金融企業が今もなおどこかしらのプロセスで対面での面接を行うのに対し、外資系金融企業の多くは、感染が国内で流行しだした2月頃から全てのプロセスをオンラインへと切り替えていました。
日系金融企業では対面での面接が必要なケースも引き続き多く、このような点は外資系金融企業と日系金融企業の違いかと思います。
転職市場の動向としては、自粛期間中にぐっと落ちこんでいた採用が、6月に入り少し活性化してきたように感じます。
国内での感染流行が一時的に落ち着いてきた今、業界全体でマーケットを戻していこうという期待感があるのではないでしょうか。
一方で、求められる人材の傾向に少しずつ変化が見られたり、コミュニケーションの手段がオンラインに変わっていくなど、生活を取り巻く環境が日に日に変化しています。
自らの安心・安全を確保しながら、フレキシブルに適応していく力が、これからの仕事での成功やキャリアを構築していく上で求められていると思います。
◆プロフィール
金融チーム チームマネージャー
玄間勇介 (げんま・ゆうすけ )
アメリカの大学を卒業後、イギリス系の人材紹介会社で転職コンサルタントとしてのキャリアを積む。2018年にエンワールド・ジャパンへ。業界歴10年以上。金融xIT業界を専門とし、外資系、およびグローバル企業のミドル~ハイクラスの採用支援、転職支援を得意とする。
2020年7月4日号「金融経済新聞」掲載 ※無断転載・引用を固く禁じます。