金融経済新聞「金融人の転職事情」第12回 新型コロナが転職の追い風にも

2021年03月08日

第12回「金融人の転職事情」新型コロナが転職の追い風にも

今回は、2020年の金融業界における転職市場の総括と、2021年度の採用見通しについてお話しさせていただきます。

昨年は、新型コロナウイルス感染症の流行が、転職市場全体に大きな影響を与えました。

新型コロナが金融業界にどのような影響を及ぼすかの予測が難しかったため、企業は採用の見送りや採用凍結などを行いました。

また、採用を継続していた企業においても、採用目線が従来よりも厳しくなる、採用を注力ポジションのみに絞るなど、様々な変化が見られました。

転職希望者は、新型コロナにおける市場の変化を良い機会として捉え積極的にキャリアアップを目指す方と、転職のリスクを懸念する方で二極化しました。

金融業界における採用の潜在ニーズは、変わらず高水準を保っています。

その中で応募者数の減少が起きたことから、競争相手が減少し、転職の成功に繋がりやすくなったケースも見受けられました。

オンライン面接が主流となったことでスケジュール調整が行いやすく、内定承諾までスムーズに進む選考も多かったと感じています。

コロナ禍はもうしばらく続くと思われますが、業界全体の見通しが昨年と比べ遥かにクリアになっていることや、デジタル化への需要増、昨年予定していた採用人数を埋められなかった企業が巻き返しを図る必要があることなどから、2021年の採用数は増加傾向になると見込んでいます。

証券や銀行、不動産、保険、資産運用会社などでは、外資系、日系企業に関わらず、これまでと同様フロントからバックオフィスまでの新規採用、退職者補填のニーズが一定のボリュームで発生するでしょう。

キャッシュレス、ペイメント、金融関連のSaaS、資産運用など、新型コロナが追い風となっている企業が大きな採用ニーズを持ち、今後の転職市場を席捲していくと予測しています。

転職希望者の傾向は、昨年と同様二極化の傾向が続くでしょう。

しかし、環境への慣れ、ワクチンの供給開始などポジティブな動きも見られることから、昨年よりは転職を前向きに考え、行動する方が増加すると見込んでいます。

1年に亘ってお届けしてきた本連載も、今回が最終回となりました。皆様にお読みいただき、温かいお言葉などを頂戴できましたこと、改めて、心から感謝申し上げます。

◆プロフィール

金融チーム チームマネージャー玄間勇介

金融チーム チームマネージャー
玄間勇介 (げんま・ゆうすけ?)

アメリカの大学を卒業後、イギリス系の人材紹介会社で転職コンサルタントとしてのキャリアを積む。2018年にエンワールド・ジャパンへ。業界歴10年以上。金融xIT業界を専門とし、外資系、およびグローバル企業のミドル~ハイクラスの採用支援、転職支援を得意とする。

2021年3月8日号 「金融経済新聞」掲載 ※無断転載・引用を固く禁じます。

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