日本のものづくりを再び世界へ、OTとITの融合で実現する製造業DX

2024.10.10
日本のものづくりを再び世界へ、OTとITの融合で実現する製造業DX

横河デジタル株式会社 執行役員 DX/ITコンサルティング事業本部

清水 誠氏

横河電機グループの一員として2022年に設立された横河デジタル株式会社。製造業のDXを牽引する同社は、設立からわずか2年で500名を超える組織に成長し、日本のみならずグローバルな舞台で活躍しています。同社の強みは、製造現場のOT(オペレーショナル・テクノロジー)とITの両方に精通し、センサーから経営まで一貫したサービスを提供できること。

急速に変化する製造業界において、横河デジタルは日本のものづくりの未来を支える重要な役割を担っています。その挑戦とビジョンについて、執行役員 DX/ITコンサルティング事業本部の清水 誠氏にお話を伺いました。

ものづくりの現場から始まり、グローバル経験を経てコンサルティングの世界へ

清水様のこれまでのキャリアを教えてください。

大学卒業後、大手の外資系IT企業に入社し17年間勤めました。最初はR&Dでハードディスク製造用ロボットの開発に携わり、その後システム開発のSE、プロジェクトマネージャー、アウトソーシング部門でのプリセールスなど、さまざまな部署を経験。さらに、タイ、中国、シンガポールと海外駐在も経験しました。17年の勤務を経て、次のステップを模索していたとき、ヘッドハンターを通じて大手コンサルティングファームに転職。その会社では9年間、ITの戦略やアウトソーシングのコンサルティングに従事し、またミャンマーでのプロジェクトに2年間携わりました。

その後、製造業のDXに特化した新しいコンサルティング会社の立ち上げに興味を持ち、横河デジタルに入社することとなります。製造現場の経験、ITシステム開発、グローバルビジネス、コンサルティングと、幅広い経験が現在の仕事に大きく活きています。

センサーから経営まで、製造業のDXを一貫してサポートする独自モデル

貴社の独自性や強みについて教えてください。特に他のコンサルティング会社と比較して、どのような点が差別化要因となっているでしょうか。

横河デジタルは、横河電機株式会社の100%子会社として2022年7月1日に設立されました。横河電機は制御機器や測定機器の開発・製造を行う会社で、横河デジタルはその経験と知見を活かしながら、製造業のDXコンサルティングを行う会社です。

私たちの強みは、自社での実践経験を基にコンサルティングができることです。横河電機自体が製造業であり、DXの取り組みを進めています。その成功や失敗の経験もノウハウとして蓄積しているので、生きたノウハウを提供できるのです。他のコンサル会社との大きな違いは、現場から経営まで一貫してサポートできる体制でしょう。

また、横河電機はハードウェアとソフトウェアも持っているため、現場のセンサー1つから経営までを網羅的にカバーできます。これは業界でも稀有な存在だと自負しています。

大企業で培った視点を活かし、日本の製造業に変革をもたらす

現在の会社への入社を決められた理由や背景を教えてください。特に、どのような点に魅力を感じられましたか?

横河デジタルへの転職を決めた最大の理由は、会社の立ち上げ期に参加できるチャンスだったからです。自身のキャリアを振り返ると、大企業に勤めていたころは「1を10になるまで成長させる」「10を維持する」ということがメインでした。そうした経験から「0から1を立ち上げたい」と思うようになっていったのです。横河デジタルはちょうど立ち上げ期だったので、事業の最初から携わることができるのは非常に魅力的でした。

また、横河デジタルの募集要項が特殊だったことも理由の1つです。OT(オペレーショナル・テクノロジー)やITを知っているコンサル経験者で、会社を立ち上げた経験がある人を求めていたのです。これらの条件を全て満たす人材は非常に稀で、自分にぴったりだと感じました。さらに、横河電機の取締役である舩生との過去の縁もあり、この会社なら自分の経験を最大限活かせると確信しました。

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表面的な改善を超えて本質的な変革へ

日本の製造業におけるDXの現状について、どのように見ておられますか?

製造業のDXについて、多くのコンサルティング会社や ITベンダーは「ERPシステムを導入しましょう」といった本社のITの提案をしがちです。しかし、本当に製造業を変えるのは工場やプラントといった製造現場が大改革をすることです。売上も利益も伸びるのは現場からなのです。

多くのコンサルティング会社は現場の知見がないために、そこに手を出せていません。そのため、できそうな部分、たとえばAIで画像診断をするとか、マニュアルを読み込ませてChatGPTを活用するといった、小規模な変化に留まってしまいます。

しかし、経営者が本当に求めているのはそういった小さな改善ではなく、AIなどのデジタル技術を使って事業を変革することです。残念ながら、本当の意味で製造業のDXに成功したコンサルティング会社は日本にはほとんどないのが現状なのです。

人手不足と技術伝承の課題に挑む、AI活用の最前線

その課題について、具体的な事例や成果をお聞かせください。

横河デジタルでは、AIを活用した製造プロセスの最適化に取り組んでいます。具体的な例として、2023年3月に内閣総理大臣賞を受賞したAIによるプラント制御システムがあります。これは、蒸留塔という装置の制御にAIを適用したものです。従来、蒸留塔の制御は熟練オペレータの経験に頼っていました。原材料の成分や外気温などの変動要素が多く、人間の判断が必要だったのです。しかし、我々はこれをAIで自立制御することに成功しました。これは世界初の取り組みで、非常に大きなインパクトがあります。

このようなソリューションは、人手不足や技術伝承の課題を抱える日本の製造業にとって非常に重要です。また、プロセスの最適化によってエネルギー効率を上げることができるため、カーボンニュートラルの実現にも貢献します。今後は、こういったソリューションをグローバルに展開していきたいと考えています。特に、エネルギー産業が盛んな中東地域での展開に注力したいですね。

我々の目標は、単に技術を提供するだけでなく、日本の製造業を元気にすることです。かつて日本の製造業が世界をリードしていた時代の輝きを取り戻し、次の世代に製造業の楽しさや重要性を伝えていきたいと考えています。

 

中東から欧州へ、製造業DXのグローバルスタンダードを目指す

貴社のグローバル展開について、特に注力している地域や市場があれば教えてください。その地域を選んだ理由も併せてお聞かせください。

横河デジタルは、設立からわずか2年ですが、すでにグローバルなビジネスを展開しています。特に注力しているのが中東市場です。中東は石油や天然ガスなどのエネルギー資源が豊富で、プラントの自動化やDXへの需要が非常に高い地域です。現在、いくつかのプロジェクトが始まっており、その規模感は日本市場とは比較にならないほど大きいです。実際に、昨年度の横河電機グループの連結決算では、日本に次いで中東・アフリカ地域の売上が第2位となっているので、この実績を基にさらなる事業拡大を目指していきます。

中東に続いて注目しているのが欧州市場ですね。欧州はカーボンニュートラルなど環境規制の面で世界をリードしており、我々の持つエネルギー計測・最適化技術は大いに貢献できるでしょう。このようなグローバル展開を通じて、横河デジタルは世界中の製造業のDXに貢献していきたいと考えています。同時に、海外での経験を日本に還元し、日本の製造業の競争力強化にも寄与していく所存です。

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グローバル展開と組織の成長で描く、日本の製造業復活への道筋

今後の貴社の成長ビジョンについてお聞かせください。

横河デジタルは現在、急速に成長している段階にあります。2022年に私が1人で始めたDXコンサルティングの組織が、1年半で50名を超える規模になりました。

我々の取り組みが日本の製造業全体の競争力向上に貢献していることを実感できるようになりたいです。日本のものづくりを再び世界のトップレベルに押し上げる、そんな大きな目標を掲げています。まずはグローバル展開も加速させたいと考えています。今後2〜3年は中東と欧州市場に注力し、その後はアジアや北米など、さらに市場を広げていく計画です。

組織としては、現在の50数名から数百名規模に成長し、より多様な専門性を持つ人材が集まる組織になっているでしょう。しかし、規模が大きくなっても、チャレンジ精神と現場主義の文化は大切に維持していきたいと思います。

新しい時代の製造業を創る人材を求めて

貴社が求める人材像について具体的に教えてください。特にどのようなスキルや経験、マインドセットを重視されていますか?

横河デジタルが求めているのは、何より製造業に情熱を持った人材です。特に、すでに出来上がった企業で働くよりも、新しい組織で自ら規則を作り、挑戦していくことに魅力を感じる方が向いていると思います。また、コンサルティング業界全般に言えることですが、上昇志向があり、素直で、コミュニケーション能力が高いことも重要です。

若手からベテランまで、製造業の未来をともに創造したいという強い意志を持つ方であれば、大歓迎です。製造現場の経験がある方や、DXに関する専門知識を持つ方は、即戦力として活躍できる可能性が高いでしょう。横河デジタルは、多様な人材が集まることで、より革新的なソリューションを生み出せると信じています。一緒に日本の製造業の未来を創っていく仲間を、心からお待ちしています。

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若手にも大きな裁量権、スタートアップならではの成長機会

弊社では “enabling success = 入社後の活躍” をコアバリューにおいています。社員の成長やキャリア開発を支援するために、どのような取り組みや制度を設けていますか。

横河デジタルでは、社員の成長と活躍を最大限支援するユニークな制度を導入しています。特徴的なのは、肩書きに関する柔軟なアプローチです。社内では管理職と非管理職の区別はありますが、対外的な肩書きは営業ツールとして自由に使えるようにしています。たとえば、お客様によってシニアマネージャーの名刺が良いと判断したらそれを使い、マネージャーの方が良さそうならそれを使うといったイメージです。一人で複数の肩書きを持つことも可能で、これにより、社員が状況に応じて最適な肩書きを使用し、ビジネスを円滑に進められるようにしています。

また、評価制度はプロ野球選手のような年俸制を採用しており、内部的なランクは設けず、純粋に成果に基づいて評価を行います。この制度によって、年齢や経験年数に関わらず、実力と成果に応じた公平な評価が可能になりました。

さらに、会社の立ち上げ期ならではの成長機会も豊富です。たとえば、オフィス移転のプロジェクトを若手社員に任せるなど、実践的な経験を通じて成長できる機会を積極的に提供しています。これらの経験は、コンサルティングスキルを磨く絶好の機会にもなるでしょう。

このように、横河デジタルでは、社員一人ひとりが自身のポテンシャルを最大限に発揮し、継続的に成長できる環境づくりに注力しています。

 

日本の製造業を元気に、好きなことを仕事にする喜び

最後にこのページをご覧になっている皆様に一言お願いします。

私はよく「仕事は人生最大の暇つぶしだ」と言っており、楽しみながら仕事にすることが大切だと考えています。嫌々仕事をしても面白くないうえに、長続きしません。横河デジタルはまだ立ち上げ期の会社なので、新しいことにチャレンジし、自分の手で会社を作り上げていく醍醐味を味わえる環境があります。横河デジタルを1つの選択肢として考えてもらえるとうれしいですね。

我々は今、日本の製造業を元気にするという大きな目標に向かって挑戦しています。かつて日本の製造業は世界をリードする存在でした。その輝きを取り戻すために、デジタル技術を活用し、現場の知恵と最新のテクノロジーを融合させる。そんな挑戦的な仕事に携わっているのです。もちろん、簡単な道のりではありません。しかし、困難があるからこそ、それを乗り越えたときの達成感も大きいのです。私たちと一緒に、日本のものづくりの未来を創っていく。そんな熱い思いを持った方々と一緒に働けることを楽しみにしています。

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清水 誠

清水 誠

横河デジタル株式会社
執行役員 DX/ITコンサルティング事業本部

慶應義塾大学理工学部を卒業後、1997年に日本IBMに入社。ハードディスクドライブの研究開発、ITシステム導入・運用保守、海外拠点立ち上げなどを歴任。
2014年にアビームコンサルティングに入社し、企業のIT戦略立案やM&AにおけるITデューデリジェンスなどに携わる。
2023年1月に横河デジタルに入社。

宮田 望

宮田 望

en world Japan K.K.
Sales Team Manager Nikkei IT/NET/Back Office2

2021年en world Japan入社。 IT業界に特化した人材紹介で12年以上のキャリアを持つ。
現在は、日系IT企業、特にベンチャー企業やグローバル企業の非IT系の事業者や開発、ものづくりのサービスを提供するITベンダー企業への人材紹介に携わる。人材紹介だけでなく社内のシステムの整備や若手メンバーのフォローアップにも積極的に取り組んでいる。

※2024年8月現在の内容です

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