企業の認知度は約 2 割 転職サービス登録者は「人材の流動化」「転職のイメージ向上」に期待
日本最大級のグローバル人材に特化した人材紹介会社 エンワールド・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:ヴィジェイ・ディオール)は、 厚生労働省が発表した「中途採用比率の公表義務化」(2021年4月施行開始予定、従業員301人以上の企業対象)についてアンケートを行い、企業113社、転職サービス登録者 1,275名から回答を得ました。
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中途採用比率の公表義務化とは?
政府が全世代型社会保障改革の一環として行う雇用制度改革の一環で、従業員が301人以上の大企業に中途採用の比率を公表義務化する法案です。労働施策総合推進法において2021年4月に施行が開始される予定です。
本法案改正の背景は、人生100年時代を踏まえ、全世代型社会保障の実現に向けて、働く意欲がある労働者がその能力を十分に発揮できるよう、雇用制度改革を進めることが必要という政府の考えに基づいています。特に大企業に伝統的に残る新卒一括採用中心の採用制度の必要な見直しを図ると同時に、通年採用による中途採用・経験者採用 の拡大を図る必要があると考えられています。企業側においては、採用制度及び評価・報酬制度の見直しに取り組む必要があり、政府は、個々の大企業に対し、中途採用・経験者採用比率の情報公開を求める方針です。
また、中途採用・経験者採用に積極的に取り組む上場企業を中心としたリーディング企業やベンチャー・中小企業等を集めた中途採用・経験者採用協議会で提起された好事例の横展開を図ること等により、雇用慣行の変革に向けた運動を展開したい考えです。好事例の周知等を通じ、各企業に対して、評価・報酬制度の見直しを促します。経営改革力に限界のある中小企業に対しては、中途採用等支援助成金等を活用し、これらの見直しのための支援を行います。
公表が義務化される項目詳細については、発表されておりません。(2020年5月現在)
KPI 2020年:転職入職率 9.0%
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調査結果 概要
1.企業(人事・採用担当者)
- 中途採用比率、外資系企業は「90%以上」、日系企業は「50~69%」が最多
- 「中途採用比率の公表義務化」企業の認知度は2割弱
- 15%の方が「中途採用比率の公表義務化」は企業にメリットがあると回答
メリットがある理由、外資系企業「求職者が転職先を探す際の公平な情報提供の場となる」、日系企業「求職者の応募を集めやすくなる」が最多 - 求職者に「メリットがある」と回答した企業は4割強
メリットと感じる点の第1位は「転職の際に企業の体質を比較しやすくなる」 - 「中途採用比率の公表義務化」導入を不安と回答したのは、外資系企業 30%、日系企業 17%
不安に思うこと第1位は「情報開示のためのデータ整理や公開作業の手間」
2.転職サービス登録者
- 「中途採用比率の公表義務化」転職サービス登録者の認知度は、外資系企業社員8%、日系企業社員10%
- 最も興味があるのは「年代別」の中途採用比率
- 求職者に「メリットがある」と回答した転職サービス登録者は約5割
メリットと感じる点、第1位は「転職の際に企業の体質を比較しやすくなる」 - 「中途採用比率」が最も役に立ちそうな場面は「転職活動で応募する企業を選ぶ時」
- 「中途採用比率の公表義務化に期待すること」は『人材の流動活性化・採用機会の増加』
『転職のイメージ向上』『企業の情報公開の透明性』 『実力主義への移行』などが多数
※「中途採用比率の公表義務化」については、本ページ下部に記載。
結果解説
エンワールド・ジャパン 人材紹介事業部 部長 クリス 小林
日本の終身雇用制度は、近年大きく揺らぎ始めています。外資系企業では従来より成果主義の文化が根強いため、年齢や転職回数で判断されることが少なく、能力のある人がそれを活かせる環境で働くというモデルが成り立っています。この様な文化的背景の違いから、現在外資系企業の中途採用比率が日系企業より高いのは必然です。
日本は今ようやく、海外企業の採用に追いつくための動きを取り始めたと言えると思います。この変革に追いつけばグローバル企業との人材獲得競争力が増し、後れを取ると人材確保に苦戦、企業の競争力低下につながる可能性も考えられます。転職者にとっても、スキルや経験がより重視されるようにるため、より明確な強みを持つことが転職を有利にし、仕事人生を成功させるための鍵になると言えます。
調査結果 詳細
1.企業(人事・採用担当者)回答
1. 中途採用比率、外資系企業は「90%以上」、日系企業は「50~69%」が最多(図1)
現在の中途採用比率を伺ったところ、外資系企業は「90%以上」が最多で52%、日系企業は「50~69%」が最多で30%でした。中途採用比率が50%を超えている企業は、外資系企業で79%、日系企業で62%となり、外資系企業の中途採用比率の高さが伺えます。
【図1】現在の中途社員採用比率は何%ですか。
2. 「中途採用比率の公表義務化」企業の認知度は2割弱(図2)
厚生労働省が発表した「中途採用比率の公表義務化」(2021年4月施行開始予定、従業員301人以上の企業対象)について知っているか伺ったところ、「知っている」と回答した企業は2割弱でした。(全体/外資系企業:20%、日系企業:14%、従業員301人以上の企業/同:21%、17%)
【図2】厚生労働省が定めた「中途採用比率の公表義務化」 (2021年4月施行開始予定、従業員301人以上の企業対象) について知っていますか。
3. 15%の方が「中途採用比率の公表義務化」は企業にメリットがあると回答。メリットがある理由、外資系企業「求職者が転職先を探す際の公平な情報提供の場となる」、日系企業「求職者の応募を集めやすくなる」が最多(図3、図4)
「中途採用比率の公表義務化」は、企業にメリットがあると思うか伺うと「ある」と回答した企業は15%に留まりました。(外資系企業:14%、日系企業:16%)「分からない」と回答した企業が最も多く、約6割でした。(同:58%、59%)
企業にメリットが「ある」と回答した企業にどの様なメリットがあると思うか伺うと、第1位は外資系企業で「求職者が転職先を探す際の、公平な情報提供の機会となる。」(同:80%、33%)、 日系企業で「求職者の応募を集めやすくなる」(同:50%、67%)でした。
【図3】「中途採用比率の義務化」について、企業にメリットはあると思いますか。
【図4】「中途採用比率の公表義務化」について、企業ににメリットが「ある」と回答した企業に伺います。どの様なメリットがあると思いますか。(複数回答可)
4. 求職者に「メリットがある」と回答した企業は4割強。
メリットと感じる点の第1位は「転職の際に企業の体質を比較しやすくなる」(図5、図6) 「中途採用比率の公表義務化」は、求職者にメリットがあると思うか伺うと、「ある」と回答した企業は4割強でした。(外資系企業:42%、日系企業:46%)現時点では「中途採用比率の公表義務化」は、企業より求職者にメリットがあると考えている、企業が多いことが推察できます。
求職者にメリットが「ある」と回答した企業にどの様なメリットがあると思うか伺うと、第1位は外資系企業、日系企業ともに「転職の際に企業の体質を比較しやすくなる」となり、約8割が回答しました。(同:79%、71%)
【図5】「中途採用比率の義務化」について、求職者にメリットはあると思いますか。
【図6】「中途採用比率の義務化」について、求職者にメリットがあると回答した企業に伺います。どの様なメリットがあると思いますか。(複数回答可)
5. 「中途採用比率の公表義務化」導入を不安と回答したのは、外資系企業 30%、日系企業 17% 。不安に思うこと第1位は「情報開示のためのデータ整理や公開作業の手間」(図7、図8)
「中途採用比率の公表義務化」で不安・問題に思うことがあるか伺うと、「ある」と回答したのは、外資系企業は30%、日系企業は17%でした。
不安・問題に思うことが「ある」と回答した企業に、どの様な点を不安・問題に思うか伺ったところ、外資系企業・日系企業ともに第1位は「情報開示のためのデータ整理や公開作業の手間」で全体の約6割でした。(同:67%、50%)日系企業では同率で「公開が企業、または求職者にとって有意義なものとなるか懐疑的」(同:48%、50%)が挙がりました。外資系企業の 「その他」は、「まだ漠然としている」「新卒採用をしていない企業が若年層にネガティブに捉えられる不安」などでした。
【図7】「中途採用比率の義務化」について、不安・問題に思うことはありますか。
【図8】「中途採用比率の義務化」について、不安・問題に思うことが「ある」と回答した企業に伺います。どの様な点を不安・問題に感じますか。
2. 転職サービス登録者の回答
6. 「中途採用比率の公表義務化」転職サービス登録者の認知度は、外資系企業社員8%、日系企業社員10%(図9)
転職サービス登録者に厚生労働省が発表した「中途採用比率の公表義務化」(2021年4月施行開始予定、従業員301人以上の企業対象)について 知っているか伺ったところ、「知っている」と回答した方は1割以下でした。(外資系企業社員:8%、日系企業社員:10%)「知らない」と回答した方が約7割(同:72%、67%)となり、まだ多くの方に情報として浸透していないことが見て取れます。
【図9】厚生労働省が定めた「中途採用比率の公表義務化」(2021年4月施行開始予定、従業員301人以上の企業対象)について知っていますか。
7. 最も興味があるのは「年代別」の中途採用比率。(図10)
「中途採用比率」について、どの項目の比率に興味があるか伺ったところ、第1位は「年代」(同:55%、64%)でした。続いて「全体」(同:46%、44%)、「職種」(同:38%、41%)となりました。
【図10】「中途採用比率」について、どの項目の比率に興味がありますか。(複数回答可)
8. 求職者に「メリットがある」と回答した転職サービス登録者は約5割。メリットと感じる点、第1位は「転職の際に企業の体質を比較しやすくなる」 (図11、図12)
「中途採用比率の公表義務化」で求職者にメリットがあると思うか伺うと、「ある」と回答した方は約5割でした。(外資系企業社員:46%、日系企業社員:48%)企業が、求職者に「メリットがある」と回答した割合と近い値となりました。(企業回答/外資系企業:42%、日系企業:46%、図5参照)
求職者にメリットが「ある」と回答した転職サービス登録者にどの様なメリットがあると思うか伺うと、第1位は外資系企業社員、日系企業社員ともに「転職の際に企業の体質を比較しやすくなる 」(同:69%、66%) でした。
【図11】「中途採用比率の義務化」について、求職者にメリットはあると思いますか。
【図12】「中途採用比率の義務化」について、求職者にメリットがあると回答した転職サービス登録者に伺います。どの点がメリットだと感じますか。(複数回答可)
9. 「中途採用比率」が最も役に立ちそうな場面は「転職活動で応募する企業を選ぶ時」 (図13、図14)
「中途採用比率の公表義務化」がどの様な場面で役立つと思うか伺ったところ、「大変役に立つ」「役に立つ」の回答が最も多かったのは「転職活動で応募する企業を選ぶ時」で約7割でした。(外資系企業社員:72%、日系企業社員:74%)
その他に、「中途採用比率の公表義務化」が役に立つと思う場面を伺うと、「企業文化・多様性の理解」「育成・教育制度の充実」「性別や年齢による採用の考え方」などが目立ちました。回答の一部を紹介します。(以下、フリーアンサー参照)
【図13】 「中途採用比率」が公表された場合、どの様な場面で役に立つと思いますか。 (転職サービス登録者/外資系企業社員)
【図14】 「中途採用比率」が公表された場合、どの様な場面で役に立つと思いますか。 (転職サービス登録者/日系企業社員)
▶その他に「中途採用比率の公表義務化」が役に立ちそうだと思う場面があれば教えてください。(フリーアンサー)
外資系企業社員
- 中途でもなじみやすい職場か否か、カルチャーの判断の一助(30代)
- 転職者を積極的に受け入れる会社か、離職率が高いということか、など会社の状況の把握する要素になりうる(40代)
- 人材育成についての会社の方針の推定(40代)
- 会社の多様性に対する取り組み度合いの推量(40代)
- 将来子供が進路を決める時助言できる(40代)
- 各業界の意向がわかる(40代)
日系企業社員
- 人材育成型か、成長中の企業かどうかの判断(20代)
- 女性の立場から管理職に行けるかどうか判断できる(30代)
- 転職検討者だけでなく新卒の人にも役立つ(40代)
- 業績とは違う企業の側面をジャッジする指標として活用できる(40代)
- 年齢に関わらず尊重しあえる社風かなどに役立つ(40代)
- キャリア組の実力主義かや社員等の人を基本的に大事にしているのかの判断(50代)
- 年齢制限の会社の考え方が実績としてわかること(50代)
10. 「中途採用比率の公表義務化に期待すること」は『人材の流動活性化・採用機会の増加』『転職のイメージ向上』『企業の情報公開の透明性』 『実力主義への移行』などが多数。
「中途採用比率の公表義務化に期待すること」を伺いました。回答を一部紹介いたします。
▶「中途採用比率の公表義務化」に期待すること(フリーアンサー)
外資系企業社員
- 年功序列のような古い体制がなくなること(20代)
- 離職率なども一緒に公開して欲しい(20代)
- 企業の情報公開の透明性が高まってほしい(30代)
- 日本において転職への偏見がなくなれば良いと思います(30代)
- 入社後のOJT、Off-JTの整備など、中途採用者の扱い公正化(40代)
- 採用のKPIだけではなく、他の非財務項目の開示へ繋がっていくきっかけになればいいなと思います。(40代)
- コンプライアンス意識の高まり。退職率の低下(50代)
- 年齢などに関係なく、経験値を生かしていける多様化になれるといいと思います(50代)
- 中途採用に留まらず、人材の流動化と適材適所(50代)
- 新卒一括採用・終身雇用・企業内労組などの日本的雇用習慣を改革し、非正規雇用と正社員の差別を是正する一助になってほしい(50代)
- 中途採用比率が低い企業の、中途採用意欲の向上(50代)
- 明確な数値目標に加えて、子育てなどからの復職について定めるべき(50代)
日系企業社員
- 企業の透明性、労働市場の健全化(30代)
- 企業側にとっても、採用ミスマッチを防止するために、有意義な情報を公開、提供してもらいたい(30代)
- 公表する事が目的ではなく、グローバル企業同様、中途採用の受け入れ、マインドの醸成に期待します(30代)
- 中途採用比率をきっかけに企業の情報公開が進むことを望む(30代)
- 新卒採用に依存しない、転職市場の流動性の向上(30代)
- 会社側のマインド、仕組み変化(30代)
- 転職の活発化、中途採用者への待遇改善(40代)
- 中途採用に対する差別や区別の希薄化(40代)
- 人材の流動化、日本型企業の変革(40代)
- 転職する際の判断基準ができるので会社の教育に対する意識が変わる(40代)
- 転職に対するネガティブなイメージが減ること(40代)
- 転職で年齢が不利とならない(40代)
- 女性の再就職、再チャレンジの可能性(40代)
- 中途採用者の離職率や在職年数の開示も同時に期待する(50代)
- 積極的に中途採用を増やす企業が増加することを望みます(60代以上)
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【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査実施期間:2020年3月26日~3月30日
有効回答数:企業:113社 転職サービス登録者:1,275名
回答者属性:企業/外資系企業:65%、日系企業:35%
転職サービス登録者/外資系企業社員:46%、日系企業社員:54%
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▼ニュースリリース ダウンロード
20200430_『中途採用比率の公表義務化 』 認知度調査
~エンワールド・ジャパンについて~
1999年に創業した、アジア太平洋地域4ヵ国に拠点のある、グローバル人材に特化した人材紹介・人材派遣会社です。外資系企業・日系グローバル企業の、ミドル~ハイクラスのポジションの採用支援を専門としています。正社員、プロフェッショナル人材派遣、エグゼクティブ人材紹介、採用代行サービス(RPO)を通し、あらゆる方面から人材採用や転職に関する支援を行っています。
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